2023.01.16 【電子材料特集】ランクセス 臭素系難燃剤で汎用品参入 グローバルで体制強化を図る
大久保 日本統括マネージャ
独ランクセスは、大手特殊化学品メーカーとして中間体や難燃剤など多様な製品を供給し、幅広い産業の発展に貢献している。近年積極的なM&Aを行うとともに、戦略的な製品ポートフォリオの変革を進めてきた。グローバルでの事業体制強化を図り、さらなる成長を目指す。
同社の事業部門は①コンシューマープロテクション②スペシャリティーアディティブス③アドバンスト中間体の3部門で構成される。3事業部門の下に各ビジネスユニット(BU)が連なり、幅広い産業分野に最適なサービスを提供する。
難燃剤を含む添加剤事業は、ポリマーアディティブスBUが管轄。同BUは①臭素系難燃剤②プラスチック添加剤(リン系難燃剤・加水分解防止剤など)③機能性色剤を扱うビジネスラインで構成され、主に電機・電子、自動車、建築分野に製品を供給している。
難燃剤は用途に応じて臭素系・リン系含め、幅広い製品を提供できる。特に臭素系ではポリマー系難燃剤と反応性難燃剤を取りそろえる。ポリマー系難燃剤は、臭素系難燃剤の中でも含有化学物質が動植物に取り込まれにくい。環境に配慮した持続性の高い製品開発を積極的に推し進める。
同BUの大久保雄二日本統括マネージャは「22年前半は電機・電子、自動車、建材とも好調が続いたが、夏以降、在庫調整や需要の落ち込みが出始めた。23年は景気後退が懸念されるものの、地に足を着けてビジネスに取り組む。近年、目の前の受注対応で手が付けられなかった製品開発に力を入れる」と話す。
具体的には、臭素系難燃剤で従来同社が手掛けていなかった汎用(はんよう)性の高い製品に参入する。テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)やトリブロモフェノールなどが該当し、プリント配線板はじめ幅広い用途が見込まれる。サプライチェーンの多角化の観点から「当社に供給を求める顧客は多かった」(大久保統括マネージャ)とし、安定的な供給に貢献する。
大久保統括マネージャは「これまで日本ではスペシャリティー重視で取り組んできたが、今後は汎用分野も加えビジネス規模を拡大したい」と話す。