2023.01.18 【情報通信総合特集】NECフィールディング 鈴木浩社長

マルチメンテナンス新領域拡大

 自治体のネットワーク強靭(きょうじん)化は今年度ピークを迎え、活況だ。オンプレミス(社内運用)とクラウドのハイブリッド型の導入が増えている。

 特に情報セキュリティーについて商談問い合わせが急増し、売り上げは前年度比20%アップした。ランサムウエアや標的型攻撃は後を絶たず、昨年8月末に提供を始めた「ゼロトラストソリューション」が受け皿になっている。脱炭素化に向けて、ビルの屋上や駐車場の屋根に設置する自家消費型太陽光発電装置も堅調だ。蓄電池と合わせてマネジメントする仕組みも進めている。

 今年3月のPHSのサービス終了を控え、病院の院内コミュニケーションツールとして、プライベートLTEを使ったローカル通信技術「sXGP」への関心が高まっている。PHSの代替手段として提案を強化している。

 メーカーや機器を問わず保守サポートするマルチメンテナンスでは、「メンテナンスサービス企業ナンバーワン」を目指して事業を拡大している。商社系や外資系IT企業の保守も扱っていく予定だ。

 昨年末には医療機器の品質マネジメントシステム国際規格「ISO 13485:2016」の認証を取得しサービスを拡充させた。ソフトクリームなどの冷蔵機器の保守も強化している。フロン関連機器の資格取得は、昨年度から150人近く増やし、今年度は約240人を配置予定だ。

 NEC本体と連携して量子アニーリング技術で部品配送業務を効率化した。これまで4時間かかっていた翌日の配送計画づくりが約20分でできるようになった。今後は当日の配送にも使えるようにしたい。

 今年度は2020年度中期経営計画の最終年度。この3年間で経営基盤改革は確実に成果を上げ、マルチメンテナンス事業を中心とした自主・自立事業の割合は4~5%増えて50%を超える見通しだ。次期中計も「オペレーショナル・エクセレンス(現場業務を改善して競争優位性が高い状態)」を軸に事業成長を加速させたい。