2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】グローセル 上野武史社長

上野 社長

中計最終年度24年に向け岩盤作り

 グローセルは、急逝した岡部昭彦社長の後を受け、昨年7月に上野武史氏が社長に就任。上野新社長は部材不足が緩和され始めた2022年について、前年の反動も含め、「当社の主要なマーケットである自動車、産業機器の需要が非常に伸びた」と振り返る。

 自動車向けのルネサスエレクトロニクス製品、産業分野向けのH&CSB、高感度半導体ひずみセンサー「STREAL(ストリアル)」を引き続き事業の3本柱に据える。

 ルネサス製品は、最先端自動車用SoC「R-car」やそのほかマイコンをコアに、アナログや電源などを組み合わせた付加価値のあるソリューション提案「Winning Combination」をさらに推進する。オンサイトによる顧客に密着したソフトウエア開発サポートも同社の強みであり、採用のキーポイントとなっている。

 H&CSBでは、台湾シリコン・モーション社製品の専任チームを構成し、ティア1に対して車載向けストレージの拡販を進める。ASICビジネスもOA機器を中心に引き続き強化する。

 第三の柱であるストリアルは売り上げが順調に拡大。上野社長は「23年は協働ロボットにストリアルが搭載される量産元年になる」と意気込む。ストリアルによるトルクセンサーを量産。微妙な力の変化を検出してロボットにフィードバックし、細かな動きを実現する機構を訴求する。

 アライアンスパートナーである日立製作所のIoT基盤「ルマーダ」を活用した測定データ管理も強みのある提案になる。

 23年は、グローセルに商号変更してから5年目を迎える。上野社長は「ブランドイメージはだいぶ浸透してきた」と自信を見せる。昨年10月に自社サイトを刷新して「技術商社」の姿を前面に出した。投資家へのアピールや人材確保の契機にもしていきたい考えだ。

 拠点再編など構造改革の効果もあり、収益の黒字化も定着しつつある。上野社長は、23年について「中期計画の最終年度である24年に向けた岩盤作りの年」と位置付け、さらなる飛躍を期す。