2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】明光電子 根本敬継社長

根本 社長

中長期的なユーザー獲得に注力

 明光電子は、2021年9月に十川正明初代社長が退任し、根本敬継社長が就任してから1年余り。前期決算(22年8月)は93億円と過去最高の売上高を記録した。

 部品単価の高騰が数字を押し上げた部分も大きいが、半導体の世界的な需要増に伴い、半導体製造装置向けで大幅に受注を獲得している。先代の十川氏の時代にまいた種が実を結び、業績をけん引した。

 食品やインフラ関係の装置向けも需要が回復し、業績に寄与した。業種を問わず部品の調達難に見舞われる中、強みの調達力を生かして顧客の信用を高めた。

 受注残も前期の売上高に匹敵する規模まで積み上がる。今期の売上高について、根本社長は部品単価高騰の要因を除いても「77億円の目標は達成でき、上振れも想定される」と意気込む。

 半導体・電子部品の販売が売り上げの6割を占めるが、単品売りではなく、基板への実装から装置への組み込みまで含めた「外注加工」サービスが全体の4割に達するまでに成長して業績を支えている。

 根本社長就任から本格的に力を入れ始めたのは、設計サービスの提供だ。パートナー企業の協力により、通信機やセンサーやマイコンソフトウエア開発など、顧客の望む仕様を基に試作して、量産段階までソリューションを提供する。

 人手不足を背景として、IoT化を図るメンテナンス会社などから、システム全体でのソリューション提供を望むニーズが増えているという。5年以上の先を見越した新しい事業展開で、次代の業績を支える新しい柱に育っていくことを期待している。

 新規商材として期待するのは、臭いを見える化するCMOSセンサーだ。冷蔵庫内での食品の腐敗や工場の機械油の交換時期の判別・判定など用途は幅広い。

 IoT磁性薄膜センサーも注力商品の一つ。機械式メーターの指針を読み取る「角度センサーユニット」と同様の原理を利用した業界初となる「後付け電力センサーモジュール」を発売した。

 23年は「年4回の展示会出展で、将来の中長期的なユーザー獲得に取り組む」(根本社長)考えだ。