2023.01.26 JX金属と早大が「寄付チェア制度」で連携 寄付の運用益で教員雇用 サステナブルな銅や車載電池リサイクルなど研究へ
両者の発表の模様
寄付金を基にした運用益で教員を雇用する欧米では盛んに見られる「寄付チェア制度」という仕組みを盛り込んだ連携を、JX金属と早稲田大学が24日、発表した。日本の大学では初めての導入という。連携して、サステナブルな銅への取り組み、使用済み車載電池のリサイクルなどの研究を検討する。
同社の村山誠一社長と、早大の田中愛治総長が会見した。両者の折半で5億円の基金を準備し、年間2000万円規模の運用益を見込む。若手の研究者の登用を見込んでおり、新年度にも募集などの活動を始める。
テーマとしては、サステナブルカッパービジョンに資する研究や、電池リサイクル、休廃止鉱山の活用や技術開発といった項目を検討している。
寄付講座や、寄付をもとにした教員の雇用といった制度は各大学にあるが、寄付などを使い切れば終わるのが基本。基金の果実を基にしたこうした寄付チェア制度は、半永久的に続けることができる。
かつて、日本研究で知られた故ロナルド・ドーア氏が英国で教授を務めた際、日産がこうした永続的な仕組みで協力していた経緯があり、氏の後にも代々の教授陣が続いてきたという。
田中総長はこうした歴史も紹介し、「JX金属の名を冠したプロフェッサー(教授)が続いていけば」と展望した。JX金属の協力は画期的とし、今後1年ほどの間に6人程度の「寄付チェア」の教員を確保したい考えを示した。また村山社長は、内外への企業姿勢の浸透など、さまざまな波及効果も期待した。
両者は「カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの加速に向けて取り組む」と意欲を見せており、早大は今後、カーボンニュートラルをテーマに総合知の結集を図る大学院を構想。今回の取り組みもその一環になりそうだ。