2023.03.08 サラメシ支える調理ロボ 韓国の新興開発、100種以上こなす 独自の技術駆使
揚げ物のロボット
社員食堂も大企業では多彩なメニューが用意される。韓国・ソウル都心のある高層ビルのカフェテリア。「愛の不時着」などでも韓国で人気のフライドチキン、日本そば、中華料理…。これをロボットがこなしている。外食ならよく見る風景だが、最近は、こうした場面でも導入が広がっている。ここで活躍しているのは調理ロボット「クックボットシェフ」だ。
ユーザーがタッチスクリーンでコマンドを入力すれば、それがロボットアームなどに伝わる。アルゴリズムを使い、沸騰温度や水量、調理時間、事前にプログラムされたレシピに応じて調理。IoTやセンサー、ロボット工学などが盛り込まれているから可能になる。
スタンドアローンの調理ロボットではなく、ピックアップや配置、冷蔵庫、オーブン、コンロ、給水、排水、タッチスクリーンディスプレー、フードディスペンサーなどを、1ユニットにまとめている。 約100の自動調理機能を提供する。
サムスン電子のような大手企業の社食を手掛ける事業者にも採用されている。「メニューを自動的に調整し、超高精度に、ばらつきのない味や品質、速度で食品を調理できる」と、カン・サムテCEOはいう。
このロボテック社は1993年設立。LCDやOLEDディスプレー用のテスターなどを提供するFA関連企業ーとして始まった。大宇グループからロボット事業部門を買収し、事業を多角化させた。
現在はこのクックボットシェフ、ディスプレーパネル、モジュール用の自動インラインロボットテスターシリーズ、AIロボットシリーズなどを手掛ける。中でも注力しているのがクックボットシェフ。
世界の食品ロボット市場は2025年の31億ドルから、27年には234億ドルへと、8倍近くに成長するとの予測もある。
「食品業界にはイノベーションが必要。食品ロスや、シェフらスタッフの不健康な労働環境、労働力不足、レストラン経営の利益率の低さなどが課題。ロボットシステムを賢く利用することで、これらを解決できる」とカンCEOは強調する。(ソウル支局)
(9日付け電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)