2023.05.16 テキサス・インスツルメンツ SiCゲートドライバー、損失改善でEV距離延伸
UCC5880-Q1の評価基板
テキサス・インスツルメンツ(TI)は16日、強化絶縁型ゲートドライバー「UCC5880-Q1」を発表した。
SiC(炭化ケイ素)MOSFETのスイッチング損失を最小限に抑え、効率改善を可能にする。
EV(電気自動車)の信頼性や電力性能を向上させ、航続距離を延長させるには、直流から交流へ高電圧を変換して車両を駆動させる「トラクションインバーター」の改善が不可欠となる。
ただ、同社によれば、現行のトラクションインバーターの大半はすでに「90%以上の効率で動作」しており、「これ以上の高効率性を実現するのは非常に難しい課題」とする。
UCC5880-Q1は、より効率的なトラクションインバーターを設計するのにエンジニアが直面する課題に応えるために開発。
MOSFETやIGBTのゲート電圧を制御することで、オン・オフを切り替えるゲートドライブ能力を20A~5Aの単位でリアルタイムに可変。SICのスイッチング損失を2%減少させることができる。
この効率改善により、EV充電の1回当たりの航続距離は最大11.2キロメートル延長できるという。1週間に3回充電する場合、1年で最大1600キロメートルの航続距離延伸が可能になる計算だ。