2023.05.17 【世界情報社会・電気通信日のつどい特集】第55回世界情報社会・電気通信日のつどい開式にあたって 日本ITU協会山川鉃郎理事長
途上国などICTで支援
経済安全保障の観点からも重要
本日、「世界情報社会・電気通信日のつどい記念式典」にあたり、柘植芳文総務副大臣、外務省の赤堀毅地球規模課題審議官のご臨席を賜り、ご列席の皆さまとともに開催できますことをまずもって心より御礼申し上げます。
コロナショックで世界中が激変しつつも、皆がその中での過ごし方を模索し、いくばくかの落ち着きを見せてきたころに始まったロシアのウクライナ軍事侵攻。一向に収まることがありません。
4月に長野県軽井沢で開かれたG7の外相会合では、ウクライナ情勢を巡り、ロシアに即時・無条件で軍の撤退を求めるとともに、ロシアに武器を供給する第三者を防止し対応するために連携して対処することで一致しました。経済安全保障への脅威の増大に対して懸念が表明され、最もぜい弱な国々のため、経済安全保障を強化することも共同声明に盛り込まれました。
そのような情勢の中、本年のITU「世界情報社会・電気通信日」のテーマは「Empowering the least developed countries through information and communication technologies」です。
ICT(情報通信技術)による支援は、対途上国はもちろん、いつ、どこにおいても大切です。ウクライナの通信インフラは、ロシアによる軍事侵攻後、イーロン・マスク氏の率いる「スペースX」提供の衛星通信サービス「スターリンク」によって支えられてきました。
こうした非地上系サービスの活用は、経済安全保障の観点からわが国でも重要な課題です。
本日の記念講演では、スペースX社のローレン・ドライアー氏に「Starlink by SpaceX : Expanding boundaries, both epic and everyday」というテーマでご講演いただきます。
さて、昨年度は大きな会議がめじろ押しでした。5月には品川でAPTの全権委員会議準備会合、6月にはルワンダ・キガリでのITU WTDC、そして9月から10月にはITU全権委員会議がルーマニア・ブカレストにて開催されました。この会議では、電気通信標準化部門の局長選挙で、NTTの尾上誠蔵氏が見事当選されました。大変喜ばしい出来事でした。
今年は、ITU RAおよびWRCが、11月から12月に開催されます。私ども日本ITU協会も、会議の成功に積極的に貢献してまいりたいと存じます。
そして本年も、この式典において情報通信・放送分野における国際的な活動に貢献された皆さまに対し、総務大臣賞および日本ITU協会賞をお贈りできることを喜ばしく思います。
受賞される皆さまのご功績に心からの敬意と感謝を申し上げますとともに、本日が、世界とわが国の情報通信・放送分野の発展に意義深い日となることを祈念し、開会のあいさつとさせていただきます。