2023.06.27 魚介類の陸上養殖にAIやIoT活用 NTTがベンチャーと新会社設立
新会社「NTTグリーン&フード」の社長に就任する久住氏(左)とリージョナルフィッシュの梅川社長=27日、東京都千代田区
NTTは27日、人工知能(AI)やIoTを活用して魚介類を生産、販売する新会社「NTTグリーン&フード」を7月に設立すると発表した。タイなどの陸上養殖を手がける京大発の水産ベンチャー「リージョナルフィッシュ」(京都市)が共同出資し、最先端の品種改良や養殖技術と、NTTのIT技術を組み合わせ、陸上養殖のトップシェアを目指す。
九州南部でのヒラメ生産を皮切りに全国展開を進め、2028年度には年間売上高100億円を目標に掲げる。
新会社でNTTは魚介類の出荷タイミングの最適化や異常の検知にIT技術を活用。リージョナルフィッシュは、生物が本来持つ潜在的機能を引き出すゲノム編集技術などを使い成長の早い魚介類の生産に取り組む。
将来的には全国に約20拠点を整備したい考えで、地元自治体や企業と連携して、陸上養殖施設を構築して魚介類を生産。ブランド魚として地元スーパーや飲食店で消費してもらうほか、大手小売店を通じて全国流通を目指す。
食物連鎖を活用した陸上養殖を想定しており、今年度は魚介類のエサとなる藻類の生産販売に着手。人工的に整備した環境とエサで魚介類を飼育することで、アニサキスなどの寄生虫や感染症のリスクを軽減するほか、マイクロプラスチックが体内に可能性がない、安心安全な魚介類の生産につなげる。
新会社の社長にはNTTの久住嘉和氏が就任。リージョナルフィッシュの梅川忠典社長は取締役に就任する予定。資本金は92億円。
記者会見で久住氏は「28年度には単年度の年間収益100億円、33年には300億円を目標に、陸上養殖のトップシェアを目指す」と意気込んだ。
(29日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)