2023.06.28 AGCや大陽日酸など、アンモニアを燃料にガラス製造 世界初の実証に成功、NEDOプロジェクトで

実証の炉

 ガラス製造などの工業用の炉で、アンモニアを活用する動きがある。燃えても二酸化炭素などが発生せず、脱炭素につながるが、炉内の温度維持や、窒素酸化物(NOx)排出量抑制などが課題だった。

 こうした中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とAGC、大陽日酸、産業技術総合研究所、東北大学は、アンモニアを燃料に利用したガラス製造の実証試験に、実生産炉では世界で初めて成功したと発表した。

 実証では、AGC横浜テクニカルセンター(横浜市鶴見区)の建築用ガラスを製造するガラス溶解炉で、大陽日酸が開発した専用バーナーを使って試験を実施。ガラスの品質や炉材への影響、火炎温度の抑制効果などを検証した。その結果、溶解炉の温度を保ちつつ、排ガスに含まれるNOx濃度が環境基準値を下回る、といった結果が得られた。

 今後、さまざまな条件下での実証試験を進めるとともに、よりスケールアップしたバーナー試験と、AGCの他拠点での実証試験を計画する。アンモニア燃焼技術の活用範囲を見極めた上でガラス溶解炉への本格導入を目指す。

 将来的にはガラスだけではなく、鉄鋼やアルミなど、ほかの素材への展開も検討し、広く素材産業の製造工程での温室効果ガス排出量削減に貢献するとしている。

 (29日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)