2023.07.21 【家電流通総合特集】シャープマーケティングジャパン 大山貞代表取締役社長兼SHARP COCORO LIFE取締役会長
高付加価値商品に力
テレビ市場、生活提案を強化
2022年度の国内家電市場全体は、外出機会の増加によるサービス消費へのシフトに加え、材料費、エネルギー価格の高騰や円安による物価上昇の状況下で白物家電は前年並み、AV商品は市場縮小もあり、厳しい状況だった。
一方で、生活の質の向上を求める傾向は、引き続き顕在化しており、ドラム式洗濯乾燥機、大型冷蔵庫などの高付加価値商品が伸長した。
23年度の当社国内家電事業は、光熱費や食料品などの生活必需品の値上がりが家計を圧迫する中、省エネ・節電・節水などの節約意識に応える高付加価値商品や回復が期待されるインバウンド需要獲得にも取り組んでいきたい。
テレビ市場については、家電エコポイント制度やアナログ停波特需からの買い替え需要はピークを越えたと見られ、需要全体は落ち着いているが、当社は、高画質・高音質・デザインなど、お客さまの生活を豊かにする〝生活提案〟を強化し、潜在需要を刺激する取り組みを行っていく。
当社テレビのフラッグシップモデル「AQUOS XLED」は、22年11月から第2弾、EP1ライン5機種を発売。75V型から55V型まで、5インチ刻みでラインアップし、設置環境に合わせぴったりなサイズを選べる。
今年6月10日から発売した4K液晶テレビ「AQUOS」FN1/FN2/FL1ラインは、AIを活用した画質・音質の最適化はもちろん、スマート機能も充実。
エアコンや洗濯機、キッチン家電などの当社製品とクラウドを介して連携し、家電の運転状況を一覧できるほか、洗濯終了などのお知らせをテレビに表示する。
さらに、新搭載のヘルスケアアプリ「AQUOSヘルスビューアー」では、スマートウオッチや血圧計で測定した歩数や心拍数、血圧などの日々の変化を、テレビの大画面にグラフで分かりやすく表示し、健康管理をサポートする。
白物家電分野では、23年第1四半期は省エネ設計、「液体洗剤自動投入」と三つの自動お掃除でラク家事のドラム式洗濯機、清潔な部屋干しニーズに対応した衣類乾燥除湿機が業界を上回り、2桁伸長している。
ドラム式洗濯乾燥機は、人気の省エネ性能と進化した乾燥機能の訴求を強化し、さらなるシェア拡大を図る。また、発売30周年を迎えたタテ型洗濯機の「穴なし槽シリーズ」の新製品においては、節水性と清潔性(黒カビ抑制)の認知拡大を図る。
冷蔵庫は大型へのシフトが着実に実を結んでいる。省エネをサポートする「AIoT使い方ナビ」や最大約25%の節電を実現する「節電25」モード採用し、業界トップクラスの奥行き薄型設計を実現した大型冷蔵庫シリーズの販売を強化する。
また、新たに投入したファン式冷凍庫「グルメクール」も、昨今増加している冷食需要に応えた商品として注目されている。
水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」は大容量の2.4リットルタイプに要望の多かった黒色モデルを投入し、子育て世帯から好評の「取り分け離乳食」メニューも拡充。引き続き、SNSなどを中心にターゲット世代に向け訴求を図り、家事負担軽減をサポートしていきたい。
スティック掃除機は、昨年発売した低騒音化モデルが〝ペットが怖がらない〟〝夜もお掃除できる〟と評価いただき、売り上げも堅調に推移している。今後ラインアップ拡充にも取り組み、幅広いニーズを取り込みたい。
プラズマクラスターについては、空気清浄機が家庭向けの需要で一服感があるものの、BtoBルートやデバイスの異業種展開などにより、新たな領域や商品への搭載を強化している。
23年度には、靴の除菌脱臭ができるシューズクローゼットの発売や電動ファン付きウエアへのプラズマクラスターデバイスの搭載などを進めてきたが、空質環境の向上のニーズがある場所はまだ残っており、需要の掘り起こしや新規応用分野の開拓を進めていく。
AIoT対応家電は、今年6月現在で12カテゴリー845機種まで拡大した。新製品と購入後の商品のAIoTの進化、家電同士や住設機器との連携強化、調理家電のメニュー提案の充実などを推進し、ネットにつながるメリットをユーザーに十分感じてもらえるよう取り組む。
キャンペーンも
今年は創業111周年を記念し、春先からさまざまな販促キャンペーンを行っている。AQUOSでは、買い替えを後押しする施策として「AQUOS XLEDキャッシュバックキャンペーン」を展開している。
7月31日までにAQUOS XLEDの対象製品を購入いただき、8月25日(午後4時59分)までに応募いただいたお客さまに、機種に応じた金額(4万円、2万円、1万5000円、1万円のいずれか)をキャッシュバック。対象の当社4Kレコーダーをセット購入のお客さまには1万円を加算し、セット提案を支援する。
白物家電については、ユーザーが関心の高い省エネ・節水を切り口として「夏目前!節電・節水応援キャンペーン」を、7月31日まで実施している。
期間中にプラズマクラスター冷蔵庫・ファン式冷凍庫・エアコン・洗濯乾燥機・「穴なし槽シリーズ」洗濯乾燥機、全自動洗濯機の対象機種を購入いただいたお客さまを対象に、抽選で333人に8万円をプレゼントする。
また、今年度は〝リアル〟の取り組みにこだわり、吉本興業とコラボしたイベントや全国での販促提案会など、店頭をはじめリアルイベント開催も強化し、お客さまの豊かな暮らしを創造いただく〝生活提案〟の場づくりを展開する。