2023.08.04 政府、「AI国際戦略推進チーム」立ち上げ 生成AIを巡る議論主導

 政府は4日、利用者の指示に基づいて文章や画像などを自動生成する「生成AI(人工知能)」を巡る国際的な議論を推進するため、「AI国際戦略推進チーム」を立ち上げた。生成AIの国際的なルール作りに向けて5月のG7(先進7カ国)首脳会議で合意された枠組み「広島AIプロセス」を前進させることが狙い。

 設置した同チームは内閣官房や外務省、総務省、経済産業省などで構成。チーム長に村井英樹首相補佐官が就任し、同日に初会合を開いた。

 同日には、AIに関する政策の方向性について有識者と議論する「AI戦略会議」(座長・松尾豊東大教授)の第4回会合も開催。広島AIプロセスの今後の進め方を議題として取り上げたほか、AI開発力の強化についても意見を交わした。

 広島AIプロセスを巡っては、9月ごろにオンラインで開く閣僚級会合で中間報告を取りまとめ、今秋のG7首脳テレビ会議に報告することを目指す。さらにG7以外の国や産業界なども含めたステークホルダー(利害関係者)から幅広く意見を聴取し、年末までにオンラインの閣僚級会合を再度開く予定だ。

 日本は、2023年のG7議長国を務めている。議長国として中間報告の「日本提案」を作成してG7メンバーに示す予定で、今回の会合に中間報告に向けた日本の案を提示。案には、生成AIのリスク対応で各主体が果たすべき責務を記述した行動指針のほか、偽情報の拡散や知的財産権を侵害する懸念を踏まえた対応の方向性なども盛り込んだ。

 会合後に開いた記者会見で村井首相補佐官は、AI広島プロセスの前進に向けて「引き続き国際的な議論を主導したい」と強調。AI開発力の強化に向けては、民間による計算資源の整備を支援するほか、学習に使う高品質なデータの拡充などを後押しする方針も示した。