2023.08.30 【エンターテインメント総合特集】レコード会社トップが語る わが社の戦略 日本コロムビア・土門義隆社長
土門義隆社長
多岐のジャンルを扱う
パッケージに加えデジタル、グッズの3本柱で収益確保
コロナ禍で苦しい部分も多くあったが、アイドルやKPOP、アニメ関連など売れるコンテンツが決まってきたようにも思う。
現在の各ジャンルは、演歌歌謡曲のエルダー系はCDが主流、JPOPはCD離れが進み、サブスクなどのデジタルがぐっと伸びた。どのジャンルもコアファンがついており、複数枚購入する。
イベント、コンサートに関しては、2020年は前年比2~3割に落ち込んだ。21年は5割ほどに巻き返したが、19年までが好調だった分、苦しい2年だった。
イベントが復活した今、19年と遜色のない状態になり、会場も盛り上がったことでアーティストのモチベーションも上がった。会場が満員となり、グッズの売り上げも伸びた。
マネジメントも含め360度全てを自社で行うアーティストを、さらに増やしたい。
収益は、パッケージの割合がまだまだ大きいが、デジタルとグッズの三つを柱と考えている。パッケージ販売にこだわらず、コンサートやグッズでも収益を上げることで、活動の幅が広がり、ファンを楽しませることができる。
4人組ロックバンド「04 Limited Sazabys」は所属アーティストの1組。面白いことをやろうと、ライブやグッズ、パッケージ販売まで挑戦を続けている。
多岐にわたるジャンルを取り扱っている。演歌歌謡曲はブランドイメージを担い、POPSは360度アーティストやロックに厚みが出てきた。アニメや旧譜も根強い人気がある。ボカロやSNSで人気なジャンルはまだまだこれから注力していきたい。
今年4月に組織変更した。クリエーティブ面やマネジメントの強化に加えて、ジャンルを超えた共通機能を強くしている。共通機能を持つことで、効率化を向上させながら、競合他社や一般企業、フリーで活動するアーティストとの仕事ができる。「総合エンターテインメントサービス企業」として活動を行っていく。
ユーザーの楽しみ方も、アーティストの在り方も多様化している。選ばれるレコード会社になる必要がある。
新人発掘は大切にしたい。大きくはないが部門ごとに専門部体制をとっている。1910年創業で、日本最古のレコード会社という強みも生かしたい。
歴史的音源も多く、100年企業の強みやブランド力、カタログ、信頼、人材が強み。さらに、それらを持っているというプライドもある。100年後も音源が残ることを大切にしたい。