2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】NSW 多田尚二社長

DXファーストと共創

全方位の事業体制が強みに

 2024年度に売上高500億円、営業利益率11%以上を目指した中期経営計画をスタートした。「デジタル変革による社会と企業の持続的成長の両立」を基本方針に掲げており、DXファーストと共創に注力している。

 当社はデバイスや組み込みシステムからSI(システム構築)、サービスまで全方位で支援できることが強みになっており、中計初年度の22年度から、企業向けシステムの「エンタープライズ」、クラウドやIoTなどの「サービス」、組み込みの「エンベデッド」、LSI開発などの「デバイス」の4事業領域で展開を始めている。

 業績をみると22年度は過去最高業績を更新し11期連続で増収増益となった。中計初年度としては好調なスタートを切れ、目標に掲げていた営業利益率11%は初年度で、前倒しで達成できた。中計2年度目となる23年度も増収増益で推移している。

 事業別にはエンベデッドとデバイスが堅調だ。エンベデッドは自動車向けをはじめ、モバイルや設備、通信ともに順調で、デバイスでも半導体設計やLSI設計など次世代を見据えた設計開発の需要は旺盛だとみている。技術者不足も課題になっているため、海外のオフショアを活用しながら対応している。

 エンタープライズはERP(統合基幹業務システム)パッケージの更新需要があり、データ分析やデータ活用に関する引き合いが増えている。サービスソリューションではDX推進に向けた案件も着実に増えてきている。特にクラウドへの移行はこの先もさらに進んでいくとみている。

 顧客企業とともに伴走しながら共創する案件も増えてきた。今年度からはコンサルティングチームを設置し、DXの支援にも本格的に取り組み始めている。既に製造業や流通小売で事例が出てきており大企業との協業も進む。これまでのシステム支援の延長線上ではなく、DX支援パートナーとして新たに協業するケースが多い。

 製造業向けではデロイト トーマツ グループと製造業のデジタル化の支援に取り組んできている。工場のスマート化に向けても連携を進めており、生産現場のデジタル化の支援を加速していきたいと考えている。

 当社が持つ全方位型の事業体制は、変化の激しい市場環境に対応することが求められる顧客企業の要望に対し柔軟に対応できていると感じている。中計の進捗(しんちょく)も順調で前倒しで達成できている領域もある。さらに上を目指していきたい。