2023.12.06 キャリア5G対応のゲートウェイ開発 アイコム、初の5G対応機器

アイコムが新開発した「IP50G」

 無線通信機器大手のアイコム(大阪市平野区)は6日、携帯電話の通信事業者(キャリア)が提供する高速通信規格5Gに対応したゲートウェイ機器の新製品「IP50G」を発表した。携帯電話と同じ回線の5Gを活用することで、大掛かりな工事をすることなく工場や事業所に5G環境を構築できる。同社が5G対応機器を開発するのは初めてで、中小企業向けに当面500システムの導入を目指す。

 ゲートウェイは異なるネットワーク間をつなぐ機器で、映像や音声、センサー機器などさまざまな通信機器を5Gの通信ネットワークにつなぐ。

 新たに開発したIP50Gは5Gのほか、Wi-Fi6(IEEE802.11ax)準拠の無線通信や有線LAN接続、USBポートなど各種IoT機器の入出力端子なども搭載。ユーザーがソフトウエア開発キット(SDK)を利用し、ニーズに合わせて開発・設計したアプリケーションをインストールすることで動作する。

 工場では各種センサーや映像など大容量のデータを扱うデバイスが増加する一方、インターフォンなどの映像関連機器や構内放送の音声機器など従来のアナログ装置も残る現場も多い。商品企画課長 の飯干勇一氏は「通信事業者が提供する通信を使うことで、工場や事業所内に新たにケーブルを張り巡らせることなく大容量、高速通信が特長の5Gを使うことができる」と新製品の強みを強調する。

 工場などでの高速通信では、5Gをエリア限定で使う「ローカル5G」もあるが、個別に基地局を開設して閉域内のネットワークを構築する必要があるためコスト面で課題があった。新製品は携帯電話と同じ回線を使って導入コストを抑え、中小企業にも導入しやすくした。(7日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)