2024.01.01 【AV総合特集】’24展望 カーエレクトロニクス
市販カーエレ市場は大画面やエンターテインメント機能の強化とともに、ディスプレーオーディオ対応など新たな施策が求められる
エンタメやオーディオを強化 CASE進展で既販車向け展開も
2024年のカーエレクトロニクス業界は大きな転換期を迎える。自動車業界が直面しているCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、エレクトリック)の流れは加速し、今後発売される新型車では市販製品に入れ替えられる領域がさらに限られてくるとみられる。これに伴い市販カーエレクトロニクスの市場も戦略の転換が求められそうだ。市販カーエレ各社では既販車にも目を向けた製品開発と展開が必須になる。
自動車業界は世界的な半導体不足や部材不足の影響が落ち着きを見せ、この一年は新型車の発売も進んだ。カーエレ業界も一時の部材不足は解消し製品供給もできつつある。
一方で最近の新型車の動向を見るとCASEの流れからコネクテッド化が進むほか、トヨタやマツダを中心にディスプレーオーディオを標準装備にするなど、市販カーナビゲーションシステムを装着できない車種が増えてきた。市販製品を取り付けられない車種と市販製品を取り付けられるオーディオレス車種も混在する中、市販メーカー各社には双方への対応が求められている。
■8インチ以上の大画面ナビが主流に
最近の市販カーナビ市場の動きを見ると、8インチ以上の大画面ナビが主流になり、車種を問わず大画面ナビを装着できるモデルも増えたが、ナビ性能の強化だけではなく、純正品にはないエンターテインメント機能を強化してきている。
大画面では、ダッシュボードから大画面ディスプレーが浮き出るフローティング構造を採用したナビを、パナソニックがいち早く発売した。これを受けて、23年にはアルパインやJVCケンウッド、パイオニアなど主要市販ナビメーカーがフローティングナビを発売した。
この2~3年の市販ナビはフローティングとエンターテインメント機能の強化が特徴と言ってもよいだろう。さらに23年のナビ製品やカーAV製品は、オーディオ機能の強化にとどまらず、スマートフォンとの連携などにも各社がしのぎを削った。スピーカーやアンプ、リアモニターといった周辺機器も充実。車種専用に設計したスピーカーシステムも多い。
エンターテインメント機能ではパイオニアが自動車内でのWi-Fi環境構築を提案。移動中でもインターネットコンテンツや動画などを、通信を気にせず使えるようにしており、最近は純正でも車内Wi-Fiを提案する動きも出るほどだ。
■音声操作も大きく進化
安心・安全の面ではこの一年で音声操作も大きく進化してきた。スマートスピーカーの音声操作が浸透する中、各社とも音声認識の開発を加速し、最新モデルは、より自然な発話でナビ操作や目的地検索ができるようになっている。
ドライブレコーダー市場も堅調だ。一時期の市場の伸びは落ち着きを見せているものの、高画質で前後録画できる機種が人気だ。新型車の装着時に加え、買い替えの需要もある。
電子ミラー一体型のドライブレコーダーも増えてきた。電子ミラーの設定がない車種などで引き合いがあるといい、ドライブレコーダー単体だけでなく電子ミラー一体型のドライブレコーダーの需要も底堅く推移していくとみられる。
■純正のディスプレーオーディオ化が課題
一方で純正のディスプレーオーディオ化も市販メーカーにとっては課題になっている。市販ナビを装着できない車種が増えることで市販ナビの装着率も下がる。
これまで新型車を中心に車種専用ナビなどの提案をしてきたアルパインは、既販車向けの提案を始めた。一代前のトヨタ・30系アルファード/ヴェルファイア向けのナビを展開。市販ナビでは初めて、車両コントロールとの連携を実現した。
カーナビやカーオーディオの取り付けキットを開発するカナック企画も市販製品ならではのエンターテインメントを実現する製品展開を強化。これまで純正オーディオを高音質化するためのコードを展開してきたが、今年はDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)を発売する。
さらに、アップル・カープレイなどと接続して移動中にインターネット動画などを視聴できる機器も投入する予定だ。
新型車に対応したエンターテインメントは、市販メーカーにとって今後の重点施策の一つになってくる。