2024.01.03 事務機各社、ソリューションサービスへかじを切り環境対応など持続的成長目指す

ソリューションサービスへ軸足を置く事務機業界

働き方改革、DXの流れは続く

 デジタルトランスフォーメーション(DX)や働き方改革の加速、1日からの改正電子帳簿保存法(電帳法)の義務化、昨年10月のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入など法制面での改革などを背景に、事務機業界を取り巻く環境は大きく変化してきた。2024年は、DX、働き方改革の加速、さらに環境への対応など持続的な成長に向けた取り組みが一段と求められてくる。こうした中、各社はソリューションサービスへ大きくかじを切ると同時に、M&Aや人的資本戦略を強化し、環境の変化への対応や持続的成長を目指す。

 リコーは、23年度から25年度の第21次中期経営戦略をスタートさせた。「顧客起点のイノベーションでデジタルサービスの会社として成長を実現し、企業価値を向上させる」(大山晃社長)として、24年を「デジタルサービスの会社への変革を一層加速させる重要な年」と位置付ける。

 同社では、成長分野であるデジタルサービス領域へのシフトを進め、25年度には売上高のデジタルサービス売上比率を、22年度の44%から60%超に高める計画だ。中小企業向け「スクラムパッケージ」、中堅企業向け「スクラムアセット」のスクラムシリーズが、計画を大きく上回って販売を伸ばしており、23年度上期の売上高は前年同期比159%、累計販売本数も36万本を突破している。

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)も「DX支援を通じて、ビジネスの中核をサービス&ソリューションに変えていく」(浜直樹社長)戦略を打ち出している。「働き方改革、DXの流れは24年も続く」として、サービス&ソリューション戦略を加速させる。

 成功事例を導入しやすいパッケージとして提案している「Bridge DX Library」が好調で、ラインアップを約150種に拡充した。

 また、中堅・中小企業のITインフラをサポートするITサポートサービス、クラウドでのパートナー連携を強化している。27年度には、ビジネスソリューション事業の売り上げを22年度比約1.5倍の4000億円以上を目指している。

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、「2022-2025中期経営計画」で、サービス型事業モデルを確立し、保守・運用サービス/アウトソーシング領域を中心に、利益を伴ったITS(ITソリューション)事業成長を実現、年14%超の成長で、25年度にはITS事業領域の売上高を3000億円に持っていく計画だ。中小企業のDXを支援する「まかせてIT DXシリーズ」「DigitalWork Accelerator」などが好評だ。

 コニカミノルタジャパンも、成功事例をパッケージ化した「サクセスパック」を約300ソリューションに拡充した。

 各社では、ソリューションサービスへ戦略の軸足を移し、デバイスの複合機との連携を強化、付加価値提案を強化している。電帳法への対応やインボイス制度の導入も追い風になったが、今後は、経営変革につなげていく戦略が求められている。

 50年のカーボンニュートラルを見据えたサーキュラーエコノミーへの取り組みも本格化が求められる。コニカミノルタは、サステナビリティーを経営の中核に置く。セイコーエプソンでは、乾式オフィス製紙機「PaperLab」のプロトタイプを「エコプロ 2023」で公開した。今年秋の商品化を目指している。

 複合機の生産拠点での再生可能エネルギー化も加速。24年度の第一四半期には、リコーと東芝テックが、複合機の開発・生産で合弁会社を立ち上げる。今年は、共創を掲げ、エコシステムが各分野でさらに進む。〝2024年問題〟にも対応した、物流の共同化の動きも本格化する。

 生成AI(人工知能)などの技術の急進展に対応、デジタル人材の育成を急ぐ。