2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 スミダコーポレーション 堀寛二社長

堀 社長

キーとなる新規開拓推し進める

 2023年度(12月期)の事業は計画通り進捗(しんちょく)した。第3四半期(7~9月)以降は少し中国景気後退の影響を受け、欧米ではインフレと高金利政策が景気に影響を与えるなど、世界全体の景気が後退し始めたと感じているが、そうした中でも23年は順調に事業を進捗させることができた。

 当社のビジネスは、アジア向けは低調だったものの、欧州が好調に推移してカバーすることができた。アジア市場の低迷は24年も続くとみているが、年後半には復活を期待している。

 24年度も売り上げ・利益共にプラス方向の計画を立てていきたい。24年度からスタートする新中期経営計画(3カ年)を年明けに発表するが、これまで同様に増収増益基調の計画となる。

 新中期経営計画の基本方針は、これまで取り組んできた方針から変更ない。民生機器市場は厳しさが予想されるが、成長する分野でビジネスを伸ばしていく。新しいアプリケーションの発掘に努め、特にAI(人工知能)を含むデータセンター市場は成長が期待されることから、注力していく。

 自動車関連は、インフレや高金利で少し購買力が低下し、世界的にデマンドが下がってきているが、今後も重点マーケットとして力を注ぐ。

 インダストリー関連は非常に好調に推移している。特に、EV(電気自動車)充電器やグリーンエネルギー分野が好調で、引き続き成長分野と位置付けていく。EV充電器とグリーンエネルギー関連は、新しいプロジェクトのパイプラインも充実している。

 重視するのは新規の顧客開拓だ。キーアカウントとなるような新規顧客の開拓を世界中で進める。また、最近は米中デカップリングで中国からの生産シフトの動きが進んでいるため、中国国内のローカルビジネス開拓にも力を入れる。大学との協業やオープンイノベーションの取り組みも引き続き推進する。

 生産体制拡充では先頃、ベトナム子会社「スミダ エレクトロニック ベトナム(SEV)」の新工場をベトナム北部ハイズオン省に建設することを発表した。国内では青森工場(青森県むつ市)の増築も進めており、24年初頭の稼働を予定している。

 また、ベトナム中部のクアンガイ工場は第3工場を稼働した。メキシコ工場ではレイアウトを変更し、生産スペースを拡充した。NAFTAでの需要に対応していく。