人間国宝で和泉流狂言師の野村万作さんと萬斎さんらによる狂言「庵の梅」を福岡で見てきた。今を盛りと咲く梅を老尼たちが愛でる物語。様式美と淡く余韻をたたえた演出だが、庵にたたずむ尼の姿に被災地で寒さに耐えるお年寄りの姿が重なった▼能楽堂に置かれた募金箱は観客の支援の気持ちですぐにいっぱいになった。萬斎さんの曽祖父は金沢出身。自身も石川県立音楽堂の邦楽監督を務める。いろいろな思いが交錯しているようだった▼能登半島地震の発生から2週間。冬の能登は寒い。そ...　　(つづく)