2024.02.02 電子部品大手8社の第3四半期累計決算 7社が2桁の営業減益

ICTや産機向けの低迷継続

 電子部品市場の調整局面が続いている。2月2日までに出揃った電子部品メーカー主要8社(ニデック、京セラ、TDK、村田製作所、ミネベアミツミ、日東電工、アルプスアルパイン、ローム)の23年度(24年3月期)連結第3四半期連結決算は、7社が2ケタの営業減益となった。

 車載向け需要は比較的堅調に推移したが、ICT市場の低迷や産機市場での一段の在庫調整などが各社の業績に影響を与えた。4Q(24年1~3月)も低調な推移が見込まれることから、5社が通期の営業利益予想を下方修正した。

 各社の4~12月期業績は、為替の円安による寄与もあり、売上高は3社が前年同期比増収となったが、営業利益の増益企業はニデック1社にとどまった。

 分野別では、車載売り上げは半導体不足の解消に伴う自動車の挽回生産が進んだことで、総じて堅調に推移した企業が多い。一方、産機関連は、顧客在庫調整の想定以上の長期化や、中国経済低迷による設備投資需要停滞などで低調だった。ICT関連は、中国スマートフォン市場が底打ちし、3Q(23年10~12月)からは若干回復傾向となっているが、力強い回復には至っていない。家電関連の需要も低調な状況が継続した。

 収益面では、円安は追い風となったものの、操業度低下や製品価格下落、中国EV市場での競争激化などが各社の収益に影響を与えた。

 8社の中で唯一、4~12月期決算が増収増益となったニデックは、3Q累計実績は売り上げおよび各利益ともに過去最高を更新したが、EVトラクションモーター事業の収益力強化のため4Qに450億円の構造改革費用を計上することとし、通期の営業利益予想を下方修正した。

 TDKは、3Q累計は減収減益だったが、今年度通期の売り上げおよび各利益予想を上方修正し、通期の営業利益は前期比増益に転じる見通し。円安効果に加え、中国スマホ市場回復により小型二次電池の販売が堅調に推移していることなどを織り込んだ。

 今年度通期の連結業績予想は、TDKが売り上げ・営業利益予想をともに上方修正したが、5社が営業利益予想を下方修正するなど、明暗が分かれた。それでも、顧客在庫調整は順調に進んでいるため、「足元は厳しい市況が続いているが、今後は回復が見込まれる」とする企業が多い。また、車載用電子部品需要は4Q以降も堅調な推移が見込まれている。

 今年度通期の連結売り上げは3社が最高の更新を計画。営業利益も2社が過去最高更新を見込む。

 (2月5日、電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)