2024.02.26 神戸の電器屋さんが高齢者見守りシステム開発 展示会出展で問い合わせ増える
開発した高齢者見守りシステム
街の電器店が開発した高齢者の見守りシステムが注目を集めている。展示会への出展をきっかけにメディアで取り上げられたほか、介護業界からも関心が高くなっている。開発者のひより電器(神戸市東灘区)の池上秀治社長は「見守りだが監視されているものではなく、能動的に状態を発信できるシステム。システムのおかげで、家の中で動けなくなった人が助かったケースもある」と話す。
同システムは元電機メーカーに勤めていた池上社長が高齢の顧客の孤独死を目の当たりにしたことをきっかけに14年から開発。改良を重ね現在のデザインに仕上げた。システムには筋力変化を日常的に取得できるボタン、外出時に押すボタン、温度・湿度など環境センサー、人感センサーなどを搭載。インターネットとつながり、外出・在宅確認のほか、部屋の温度・湿度、ボタンの押し具合から測れる指の筋力量などをパソコンなどで確認できる。
昨年9月には、神戸市中央区で開催された産業総合展示会「国際フロンティア産業メッセ2023」に初出展。医療関連エリアにブースを構えたが、来場者からは好評を得た。筋力量の変化からフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)の予兆把握につながる機能や監視カメラなどを使わず、抵抗感を感じない見守りシステムとして注目を集めた。
この出展をきっかけに地元の新聞社や放送局にもシステムが取り上げられた。番組では、利用者が家で転倒して動けなくなったことがシステムのおかげで親戚が気付いた事例などを紹介した。「介護業界からも問い合わせが増えている。今後、介護関連企業に導入する予定。今年の9月までに新しいモデルの開発も進める」(池上社長)。
今後はさらなる普及を目指し、実用化に向けてパートナー企業や開発協力者を探している状況。9月に開催予定の産業展示会へ再度出展する。