2024.06.11 ネットワーク機器7年ぶり減少 投資抑制、5G基地局伸び悩む 「市場回復は25年以降」 CIAJ

ネットワーク関連機器の国内市場規模推移

ネットワーク関連機器などの国内生産額の推移ネットワーク関連機器などの国内生産額の推移

 ネットワーク関連機器の国内市場金額が7年ぶりに減少に転じたことが、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が12日に公表した2023年度通期の通信機械生産・輸出入の概況で分かった。国内外で通信事業者のインフラ投資抑制が続き、高速通信規格5Gの基地局やデジタル伝送装置の生産総額が前年度に比べ4割近く減少。スマートフォン契約数も飽和状態にあるあおりで輸出入総額とも前年度を割り込んだ。

 23年度の国内市場金額は前年度比2.9%減の3兆5948億円と4年ぶりに減少に転じた。拡大を続けてきたネットワーク関連機器全体も同8.1%減と7年ぶりに減少した。

 国内生産金額は前年度比20%減の3891億円と3年連続で減少。供給制約の影響が回復した有線端末機器が増加したものの、22年に京セラ、FCNTがスマホ事業から撤退した影響で携帯電話を含む陸上移動通信装置が同25.3%と大きく減った。ネットワーク関連機器も、デジタル伝送装置は同36.9%減、基地局通信装置は35.6%減と大幅に落ち込んだ。

 CIAJ市場調査部の中井誠治部長は「通信事業者の投資抑制は依然続いている。市場が上向くのはミリ波やサブ6の普及が進む25年以降になるのではないか」との見通しを示した。

 輸出動向をみると、同9.8%減の3228億円と3年ぶりに減少。ネットワーク関連機器の輸出は円安効果もあって増加した一方、契約数飽和や経済低迷でスマホの出荷台数が低迷する中国をはじめ世界全体が低下傾向にありスマホ生産用部品が伸び悩んだ。

 輸入は同0.8%減の3兆5825億円と4年ぶりに減少。買い替えサイクルが延びている携帯電話は、輸入台数は減っているもののiphoneなど海外メーカー製の高価格帯モデルが堅調で輸入金額は同1.2%増加した。しかし、国内の通信インフラ機器への投資が抑えられ、総額では前年度を割り込む結果となった。

 一方で、スイッチング機器やルーティング機器はデータセンターの設備投資拡大により前年度比1.7%増とプラスを維持。中井部長は「需要が拡大しているデータセンター向けの高速な伝送装置やスイッチは今後も伸長するだろう」と期待感を示した。