2024.12.09 【ぬくもり×テック】<下> mui Lab 木製のスマートホーム機器、第2世代は「Matter」対応
muiボードは、ドット絵にすることで情報量を抑えている
10月24日から始まった応援購入サービス「マクアケ」のプロジェクトは、mui Labにとって日本国内のエンドユーザー向けにスマートホーム機器「muiボード」第2世代品を本格的に発売する初の取り組みだ。
2025年1月17日まで実施し、第2世代品の購入を受け付けている。従来のmuiボードはAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携で接続できる機器が限られていたが、第2世代品は、国内の家電の通信規格「ECHONET Lite」に加え、スマートホームの国際的な通信規格「Matter」にも対応し、より多くの機器と連携できるようになった。
第2世代のmuiボードでは、ボードに長く触れると、事前に設定していた機器を一括起動できる。ボード上で手描きしたメモの書く速さを再生することも可能で、どのような気持ちで書いたのかなどを伝えやすくする機能も備える。
共同創業者でクリエイティブディレクターの廣部延安さんは「muiボードで家が豊かになる。スマートフォンは補足的な存在になる」とし、スマートホームの認知度が低い日本で「業界自体を作っていきたい。自動化や利便性がうたわれやすいが、生活が豊かになるように提案したい」と語る。電気やガスなどのエネルギー事業者との連携も重視している。
muiボードのようなスマートホーム機器は、一家に一台から複数台の設置を希望する傾向も高まっているという。廣部さんは「おばあちゃんの家と孫の家をmuiボードを通じてつなげるなど、考え方は広がる」と話す。
第2世代品の目標販売台数は、発売から1年間で1500台。マクアケを機にエンドユーザーを増やすとともに、カスタマーセンターを設置してサポート体制を整えることも計画している。
現在は、不動産業者の顧客が多く、エンドユーザーは少数。「どうしてもmuiボードが欲しい」という消費者がmui Lab本社まで買いに来ることもあるという。
初代muiボードは、スマートホームの動きがいち早く出ていた北米市場に向けて、米国のクラウドファンディングで18年にプロジェクトを始め、20年1月に出荷。その後、住宅メーカーなどの事業者と協業する形で国内でも製品の販売を開始した。北海道ガスの賃貸マンションにmuiボードを一部導入するなど、日本でもスマートホーム普及の足掛かりとして広がりつつある。
(おわり)