2025.01.10 【育成のとびら】〈41〉就任4年以上のベテラン課長 「部下とのコミュニケーション」に悩み
前回、新任管理職(就任3年以内の課長)の特徴として、3割以上が「自身の判断」に悩んでいるという点を紹介した。
新任管理職の悩みで33.6%だった「自身の判断」は、ベテラン管理職(就任4年以上の課長)になると13.8%と半分以下となり大きく低減していた。
判断力は経験を重ねることである程度、悩みが解消できる様子がうかがえるが、代わりに新任管理職などに比べて高まっている悩みがあることも明らかになっている。
今回は、当社ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所が2024年5月20日~7月17日に、415人の管理職を対象に行った意識調査から、ベテラン管理職の悩みについて見ていきたい。
調査では、就任から3年以下の課長クラスを「新任管理職」、4年以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と位置付けて分析した。
管理職としての悩みについて質問したところ、ベテラン管理職の36.2%が「部下とのコミュニケーション」を選んでおり、3人に1人以上が難しさを感じていた(図1)。この割合は新任管理職より10.7ポイント、幹部候補より7.4ポイント高かった(図2)。
カギは「悩みの分解」
ベテラン管理職はほかの階層に比べて、部下とのコミュニケーションに悩みを抱える割合が高かった。この群は課長に就任して4年以上の経験者のため、管理職としての経験をある程度蓄積している。一方、部下世代と関わる機会の減少や、年齢や価値観のギャップなどが生じていることが予想される。
この悩みを解決する上で重要なポイントは、「コミュニケーション」と一言でくくられがちなさまざまなスキルを分解して、解決策を検討することだ。
管理職に求められるコミュニケーションは、傾聴力、質問力、交渉力、文章読解力、ファシリテーション力、プレゼンテーション力など幅広い。コミュニケーションのどこに課題があるかは、個々の管理職によって異なるため、個々の課題に合わせたスキル開発に取り組むのがよいだろう。
具体的な解決手法に、自身の認知バイアス(認識や思考の偏り)に気づくためのワークショップの実施をはじめ、部下が自立する力を高めるためのコーチングスキルの開発などがある。また、ハラスメントやアンガーマネジメントを正しく理解した上で部下に行動を改善してもらうための伝え方を学ぶロールプレーイングなど、実践的な学びが助けになるだろう。
次回は部長クラスの悩みについて焦点を当てる。(つづく)
〈執筆構成=ALL DIFFERENT〉
【次回は1月第4週に掲載予定】