2025.01.15 【LED/次世代照明特集】LED照明、高付加価値品が増加傾向 IoT対応やあかりの質を重視
オフィスなど建物のOSとつながったLED照明が今後増えていきそうだ
■LEDへの切り替え加速
IoT対応や質の高い明かりを実現した付加価値照明は、増加傾向にある。高価格帯の製品が多いものの、導入しやすい価格の製品も徐々にラインアップされてきており、ネットワークにつながることで、消費者の関心や理解度は高まってくるとみられる。
これは非住宅分野でも同様の傾向にある。屋外照明ではデザイン性や明かりの質が重視されるようになっているほか、制御システムやAI(人工知能)カメラを活用し快適な明かり環境と安全性が求められている。同時に、技術開発の進展により、既存光源からの代替が難しかった特定分野におけるLED化も進んでいる。
政府が目指すカーボンニュートラル実現を目指すためにも、既存光源からLED照明への切り替えの加速は不可欠だ。そのためにも、住宅、非住宅ともに価格だけでなく価値を見いだす明かりの製品化と提案は重要になる。実装導入が進むIoTやAIといった先端技術に対応した照明の開発が、今後ますます必要になってくるはずだ。
■LED化率6割超
日本照明工業会によると、23年度末の照明器具市場はストック(既設照明)が全体で約18億台あり、LED化率は約60%に達している。LEDへの切り替えが一般住宅向けを中心に順調に進む中、カーボンニュートラル実現のカギも握るLEDで市場の活性化を推し進めていく考えだ。
Wi-Fiやブルートゥースを搭載したLED照明は増えているものの、実際にどのように活用できるかなど、消費者の認知や理解は十分とは言い難い。エアコンや冷蔵庫、テレビなどさまざまな家電がネットワークにつながる中、利用したくなるような機能や利便性の訴求はもちろんのこと、IoT機器と照明の連携でできることを提案することも必要といえる。
オフィスや工場向け、商業施設でも照明器具単体にとどまらず、AIカメラやセンサーなどを搭載してIoTとつながったLED照明に各社が力を入れている。
■制御技術を生かした製品
オフィス向けでは、人のいる場所をAIカメラが検知し、好みの明るさや調色・調光で照らすことや、人が不在ならば消灯するといった機能を搭載する照明の提案が増えてくるとみられる。フリーアドレスの採用や在宅勤務と出社を併用する企業に向け、省エネや労働環境向上に貢献する機能をそろえたラインアップを提案する。
照明メーカー単独でなく、他業種と協働で新しい照明の在り方を提案する動きもみられてきた。その一例として、シグニファイは、清水建設が新設したオープンイノベーション施設「温故創新の森 NOVARE」内の情報発信・交流施設に次世代照明制御システムとPoE照明が導入されたことを発表した。既設の建物に照明を組み込むだけでなく、清水建設のスマートビルOSと連携させることで、照明制御の新しい価値を見いだす試みが始められた。
工場向けでは、作業員の監視や安全確認などを目的に、AIカメラ搭載のLED照明を提案している。危険エリアに間違って侵入していないか、けがや事故などで作業員が倒れていないかなど、従来は目視を頼りに行ってきた作業をソリューションで行える製品をラインアップする。