2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 NECソリューションイノベータ 石井力社長
IFSの海外展開強化
生成AIの高度利用を支援
2024年は旺盛なDX需要を背景に、市場は活況だった。クラウド向けITサービス中心に継続的に伸びている。特に公共系の引き合いが拡大している。
自治体のデジタル移行は今年から本格化しこの3年くらいは強いデマンドが続くだろう。需要に対応するにはいかにリソースを転換するかが鍵になる。そのために独自のタレントマネジメントシステムを開発した。NECグループ全体でジョブタイプを共通化して、人材の過不足を可視化するなど内部の仕組みを整えていきたい。
本業であるSI(システム構築)の高度化と、新しい価値を生み出すバリュープロバイダーとしての挑戦という二つの柱で事業を推進している。
SI関連でこれから力を入れていくのが、スウェーデンの統合基幹業務システム(ERP)大手IFSの導入促進だ。航空機や鉄道などの分野で、NECは長年実績を持っているが、差別化できる領域として成長させていきたい。
NEC本体が全体のプロジェクト管理などを行い、当社はソリューションコンサルティングから開発テスト運用を担っていく。オフショアを実施してきたインドを軸にグローバル展開を強化していく。
バリュープロバイダー事業では病気を未然に防ぐ「未病」を促進するヘルスケア事業を進めている。子会社のフォーネスライフを通じて、血中のタンパク質を分析して将来起こりうる疾病を予測するサービス「フォーネスビジュアス」が軌道に乗ってきた。
検査で将来の病気を予測し、保健師らがコンシェルジュとしてアプリを通じて健康指導を行い、行動変容につなげる取り組みが浸透しつつある。認知症や脳梗塞、肺がんなどのリスクを抑制することがデータとして実証され、医療費の削減効果があることが分かってきた。25年度以降はすい臓がんや乳がんなどにも予測範囲が広がる予定でだ。政令指定都市を中心に来年度の予算獲得に向け体制を整えている。企業や自治体から得られる健康データは、治験に膨大な費用を要する製薬会社のコスト効率化にも活用している。
25年は生成AI(人工知能)の活用も高度化が見込まれる。音声入力の進展でインターフェースが変われば設計や構造も変化が求められる。データベースも複雑になるため、いかに顧客の用途に合わせた設計を用意できるかが優位性につながる。SIとコンサルが混在した部分でわれわれの強みが発揮できる。
社員のウェルビーイングに向けては健康、成長、働きがいの三つの柱で人的資本経営を進めるとともに、経営戦略と人材戦略が連動した会社・組織のバリュー向上に取り組んでいる。