2025.03.04 米国で15兆円追加投資、先端半導体向け TSMC

TSMCの米アリゾナ拠点

TSMCは、AIや最先端アプリケーション向けに数千億円規模の半導体価値の創出を狙うTSMCは、AIや最先端アプリケーション向けに数千億円規模の半導体価値の創出を狙う

 台湾積体電路製造(TSMC)は4日、米国で先端半導体製造の投資を拡大すると発表した。新たに1000億ドル(約15兆円)を投じ、既存の650億ドルと合わせて総投資額は1650億ドル(約24.7兆円)に達する。これにより、TSMCの米国内での生産基盤を強化し、AI(人工知能)をはじめとする先端技術の発展を支えるサプライチェーンの構築を進める。

 アリゾナ州フェニックスで進む既存計画を増強する。3つの新工場、2つの先端パッケージング施設、主要な研究開発センターの建設が含まれる。これらのプロジェクトは、一企業による海外直接投資として米国史上最大規模になるとする。

 今回の投資により、4万人の建設雇用が創出される上、先端チップ製造や研究開発分野で数万人規模のハイテク人材の雇用にもつながる見込みだ。同社は、今後10年間で米国経済に2000億ドル以上の間接的な影響をもたらす可能性があると試算している。

 TSMCの顧客には、アップル、エヌビディア、AMD、ブロードコム、クアルコムなどの米国を代表する企業が名を連ねており、今回の投資拡大により、これらの企業への供給能力が一層強化されることになる。

 魏哲家(C.C.ウェイ)会長兼CEO(最高経営責任者)は、「2020年、トランプ大統領のビジョンと支援によって、われわれは米国で先進的なチップ製造を確立する新たな取り組みを開始した。このビジョンは今、現実のものとなっている」と述べた。

 さらに「アリゾナでの最初のファブの成功に加え、必要とされる政府の支援と強力な顧客とのパートナーシップにより、われわれは米国での半導体製造投資をさらに1000億ドル拡大し、計画投資総額を1650億ドルにする」と強調。「AIはわれわれの日常生活を再構築しており、半導体技術は新たな能力と応用の基盤である」とした。

 TSMCは、米国内での先端パッケージング施設の建設を通じて、AI関連のサプライチェーンをより強固にする考えだ。同社のアリゾナ工場は現在、1100エーカーの敷地に3000人以上を雇用し、24年後半からN4プロセス技術の量産を開始。第2工場はN3プロセス技術に対応し、第3工場ではN2とA16技術の生産を計画している。

 TSMCの米国内の拠点は、アリゾナ州フェニックスの最新製造施設のほか、ワシントン州キャマス、テキサス州オースティン、カリフォルニア州サンノゼにも設置されている。

<執筆・構成=半導体ナビ