2025.04.22 メインフレーム、新幹線のように進化 日本IBM社長「今後20年のロードマップを策定」
講演する日本IBMの山口社長=21日、東京都港区
「今後20年のロードマップを策定し、顧客の要望に応じて柔軟かつ拡張性の高いシステムを提供し続ける」。メインフレーム(大型汎用コンピューター)の次世代機「z17」を打ち出した日本IBMの山口明夫社長が21日、東京都港区の本社で講演し、今後もメインフレーム事業への投資を拡大していく方針を強調した。
山口社長は、メインフレームが1964年の「システム360」登場以来60年にわたり社会インフラとして進化を続けてきた歴史をひもといた。その上で、新幹線の進化になぞらえ「メインフレームも時代の要請に応じて最新技術を取り込みながら進化している。社会に必要とされているからこそ、私たちは開発と提供を続けている」と述べた。
山口社長は「メインフレームの導入自体が目的ではなく、その活用を通じて顧客の課題解決や価値創出に貢献することが本質だ」と指摘。顧客企業のパーパス(存在意義)や中期経営計画の達成に向けて、ITを通じた貢献を重視する姿勢を示した。
メインフレームの市場環境を巡っては、富士通が2030年度にメインフレーム事業から撤退する一方、NECは「ACOSシリーズ」の継続を宣言するなど、各社の対応が二極化しているのが現状。日本IBMとしては「今後20年のロードマップを策定し、顧客の要望に応じて柔軟かつ拡張性の高いシステムを提供し続ける」と改めて強調した形だ。
一方で、生成AIの普及に伴い、従来のプログラミング言語「COBOL」やレガシー言語の技術者不足への対応に加え、ロジック変換も容易になりつつあることに言及。若手人材の育成や最新スキルの習得支援を強化する方針も示した。
山口社長は「顧客企業の経営課題解決やパーパス実現のために、最適な選択肢を提供することがIBMの使命」と語った上で「メインフレームを含む多様なITインフラの中から、顧客が最適な組み合わせを選択できる環境づくりに注力していく」と締めくくった。