2025.05.22 台湾ICT展示会、宇宙船モチーフのブースが活況 ギガバイト、9割がサーバー関連
宇宙船をイメージしたギガバイトのブース
台湾のパソコン周辺機器メーカー、ギガバイトが、台北で開催中のICT見本市「COMPUTEX(コンピュテックス)」でひと際目立つブースを展開している。展示内容の9割がサーバーに関するもの。マザーボードを祖業とする同社だが、AI(人工知能)がけん引するHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)向けデータセンターの需要が拡大する中、米エヌビディアなどのチップ搭載サーバーとその関連技術を紹介した。
宇宙船をモチーフにした構造物が目に入るギガバイトのブースは、さまざまな企業が集うコンピュテックスでも目を引き、多くの来場者が訪れていた。同社のサーバー部門を担うグループ子会社、ギガコンピューティング日本オフィスの中村広志ディレクターによると、「今回の展示のうち90%がサーバー関連」と語る。

入り口には、エヌビディア製新GPU(画像処理半導体)「GB300」搭載のサーバーが置かれていた。ギガバイトは、AI開発者向け小型スーパーコンピューター「DGX Spark」や「DGX Station」のローンチパートナーとして組み立てや販売を担う。ブース内にエヌビディアのジェンスン・フアンCEOのサインが書かれていたこともあり、来場者の注目を集めていた。

ギガバイトは、米インテルやAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)、英Armといった半導体企業のプロセッサー搭載サーバーも手がける。
サーバーベンダーとしてのギガバイトの強みについて中村氏は、「顧客に導入する際の柔軟性だ」と話す。仕様に関する顧客の要望に細かく合わせられるという。同社のサーバー事業部は1998年に発足以来ノウハウを蓄積し、信頼性が高い。顧客に丁寧にヒアリングを行い、納入から保守・管理までを着実にサポートする。
日本市場に関しては、日本メーカーのODM(オリジナル・デザイン・メーカー)としてサーバーの設計を行ってきた実績がある。本社から派遣したエンジニアが常駐するとともに、導入を検討するための検証施設も設置しており、日本を重要視している姿勢がうかがえる。
昨年からエヌビディア製GPUは、莫大な演算能力に伴う発熱を抑えるためサーバーの冷却方式として、空気ではなく水や冷媒をコールドプレートに通す「水冷」を推奨している。
中村氏は、データセンター向け水冷サーバーに触れ、「(導入に慎重だった)日本でも意識が変わった」と説明。そうした変化を踏まえて事業展開を加速することに意欲を示した。サーバー納入時には、配管などの細部まで考慮する必要があり、柔軟に対応できる強みを生かしたい考えだ。
中村氏は目下の展望として、「高まるGPU需要に応えていきたい」とも意気込んでいる。