2025.06.16 IIJが情シス・DX部門の人材不足調査 企業と応募者のミスマッチ
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、今年の4月に企業の人材に関するアンケートを実施し、その結果を「情シス・DX部門の人材不足に関する調査」として公開した。同社は、例年、情報システム部門を対象とした「情シス人材に関するアンケート」を実施しているが、今年は対象をDX(デジタルトランスフォーメーション)関連部門や他部門にも拡大して調査を実施した。1378件の有効回答を基に分析した結果、〝人材不足〟の実情と課題が明らかになった。
調査は、4月9日から4月16日の期間に、インターネットによるアンケート調査の形で行われた。調査対象は、企業および事業所に所属する正社員(経営者・役員を除く)。
約8割が不足実感
今年の調査では、回答者の約8割が人材不足を感じており、特にDX関連部門や情報システム部門でその傾向が強いことが分かった。一方で、「採用したい人材が来ない」「応募はあっても求める基準に届かない」といった、企業側と応募者側のミスマッチも明らかになった。「企業が人材に求める能力や適性の水準はますます高くなっているにもかかわらず、それを支える採用・補充経路やブランド訴求に課題があるように見受けられる」と分析している。
このほかにも同調査では、昇給の状況やキャリア形成・キャリアアップについてなど、人材に係る現状をまとめており、特に情報システム/DX/エンジニア部門が、今後IT人材獲得に向けたアクションをするに当たって参考となる情報となっている。
【設問】所属部門の人員は不足していると感じますか?
回答者の約8割が人材不足を感じていることが判明した。特にDX部門、ITエンジニア・システム関連(情シス以外)、情報システム部門といったIT関連部門でその傾向が顕著だった。
回答者全体でみると、「非常に不足している」が17.3%、「不足している」が59.7%となっており、合わせて77%を占めた。これに対して、「不足していない」が19.4%、「まったく不足していない」が3.6%だった。
【設問】自部門の「主な人員補充経路、方針」をお答えください。その補充経路で、人員は十分に補充できると感じますか?
人員の補充経路としては「キャリア・中途採用」が約半数を占める中で、「現在の採用経路である程度補充できると感じる」と答えたのは全体の3割に満たない結果となった。一般事務職やマーケティング職に次いで、DX部門、情報システム部門が補充の難しさを感じている。
「主な人員の補充経路」では、最も多かったのが「キャリア、中途採用」の48.0%、次いで「新卒採用」の20.7%、「自社内の他部門からの異動」の14.5%となっている。「人員採用の意向がない・感じられない」が11.2%を占めた。
【設問】補充できないと感じる理由をお答えください。
人材補充ができない理由として「採用に対する応募が少ない」との回答が約6割。その要因としては、「企業ブランド力が低い」「給与条件が悪い」が上位となった。企業側は「専門知識を有する人材」「イノベーション創出・推進ができる人材」が特に不足していると感じているが、応募者のスキルや経験が企業の求める条件に満たないという回答も4割以上に上った。
【設問】所属部門に「足りていないと感じる人材」をお答えください。
「専門知識、スキルを持った人材」33.2%、「イノベーション創出、推進ができる人材」16.3%、「戦略立案できる人材」11.6%だった。