2025.06.17 「データ×AI」で福島の魅力発信 ソフトバンクと博報堂テクノロジーズがハッカソン
AIを活用したアイデアについて説明する「テックと盃」チームのメンバー=東京都港区
人工知能(AI)をデータに組み合わせ、福島県の魅力を効果的に伝える――。ソフトバンクと博報堂テクノロジーズは、そんなサービスを創出して成果を競うハッカソンを東京都内で開いた。第1位に選ばれたのが、AIを活用しユーザーの好みや気分に合う地酒や伝統工芸品を提案する仕組みを発表したチーム。それ以外にも多彩なアイデアが集まり、福島の活性化に貢献する可能性を示した。
今回のハッカソンは「データ×AIの活用」をテーマに学びを深めて交流を図ることを目的とした両社の共同企画で、福島テレビが番組データなどの提供で協力。ソフトバンクと博報堂テクノロジーズの社員ら約30人が5チームに分かれて福島の魅力を届けるサービスを練り上げ、その成果を12日にソフトバンク本社(同港区)で開かれた最終報告会で発表した。審査員は各チームの成果物を、「創造性」「プロモーション力」「実現可能性」「Tech(技術力)」という4つの観点から評価した。
「日本酒×伝統工芸」のチームが1位
その結果、頂点に輝いたのが、「テックと盃」チームが発表した「AIが作る、わたしの酒と器。~福島の日本酒×伝統工芸×あなたの感性~」というアイデア。同チームは「日本酒などの伝統文化を通じて、気づいたら福島のことを考えている状態へ」というコンセプトを掲げ、インバウンド(訪日外国人)などを含む「伝統文化のビギナー層」を狙ったサービスを考案した。
具体的には、チャット形式でAIと対話してユーザーが好みや気分を伝えると、「おすすめの日本酒」を提案してくれる。サービス画面の「詳細」に進むと、選んだ理由や醸造所の情報も確認できる。さらに「これに合う器をデザインする」というボタンを押すと、自身にマッチしたデザインを提案し、最終的に3D(3次元)の器を生成してくれる。サービスを利用する場面は旅行前。壇上でメンバーは「居酒屋や旅館などでサービスを利用してもらい、それをきっかけに福島のことを考えて訪れるというストーリーを想定している」と力説した。
同チームのサービスについて、ソフトバンク専務執行役員兼CIOの牧園啓市氏は「福島をちゃんとアピールし、AIを使いこなしている。すごく楽しいアイデアだと思った」と高く評価した。
地域振興につながる多彩なアイデア
2位には、福島のスポットや特産品を擬人化して提案するマッチングアプリを発表した「チームこしあん派」が選出。3位に選ばれたチーム「ここらっせ」は、AIで再現した県民と心温まる会話を行い、信頼関係が深まると特別な体験が味わえるというサービスを披露した。また福島テレビ賞は、福島の魅力をシェアする動画投稿プラットフォームを手がけたチーム「ふくしま担」が受賞した。
牧園氏は総評でハッカソンを振り返り、「共創によるイノベーションが本当に見えた」と強調した上で、「違うことが混ざることによって新しいものが生まれる。交流を深めて日本のために、地方のためにもっと活躍してほしい」と期待感を示した。