2025.07.08 【家電総合特集】後半戦の取り組み 東芝ライフスタイル 白戸健嗣社長
白戸 社長
25年度売り上げ規模拡大へ
顧客が求める機能を厳選、新たな価値提供へ
2025年の国内家電市場は物価高の影響もあり消費は弱含みで、当社も全体では数量金額ともに何とか前年並みを維持している状況だ。原材料費の高騰もある中、製品価格を維持しながら付加価値を提案し購入につなげてもらえるよう努力している。直近では全国的な暑さもありエアコンの動きが良いほか、調理家電やクリーナーなどの小物家電は底堅く推移している。
当社はエアコン、冷蔵庫、洗濯機、オーブンレンジ、炊飯器、掃除機の主力6製品を軸に展開。中国マイディアグループ(美的集団)のもとで構造改革に取り組み、収益を確保できる体制が整ってきた。25年は改めて売り上げ規模の拡大を目指し、収益拡大を重点施策に掲げた。ブランド浸透へマーケティングや顧客サポート、販売店支援などを強化している。
東芝の白物家電ブランドの浸透では24年からアンバサダーに俳優の反町隆史さんを起用。今年もテレビCMの展開とともに、デジタルでの訴求も強化する。ホームページの見直しやX、インスタグラムといったSNSを使った情報発信も進めている。
製品の購入後も満足度を高めてもらえる顧客サポート体制も強化した。昨年はコールセンター体制と修理対応するエンジニア体制を整えた。今年はセンターの仕組みも見直し、より顧客の声をサービスや製品開発に生かせるようにした。
販売店支援では、春に東京、大阪、名古屋、福岡の4カ所で体感・勉強会を実施。「MST(見て、触って、食べて)」を軸に製品の説明を丁寧に行った。全国の量販店や東芝ストアーから前年比138%の参加となるなど計画以上の反響だった。秋にも開催予定で現在、地域や内容を検討している。
製品では大容量冷凍冷蔵庫「VEGETA(ベジータ)」のフラッグシップを10年ぶりにフルモデルチェンジし、独自の技術で大きさをそのままに大容量化を図った。好調なスタートを切っている。オーブンレンジ「石窯ドーム」は、温め性能を改善するとともに小世帯向けに26リットルクラスの高機能機を用意した。IHジャー炊飯器「炎匠炊き」シリーズも使い勝手やメンテナンス性を高めた。クリーナーは昨年ダストステーション付きのコードレスクリーナーを発売したが、今年は抗菌・消臭機能付きの紙パックを採用し、約3カ月分のごみを収集できる新製品を投入する。
新たな取り組みではAV機器でかつてのオーディオブランド「AUREX(オーレックス)」での展開を加速する。今年はバッテリー&オーディオ・ストレージ事業部を新設し、グループの東芝エルイートレーディングが開発するスピーカーやカセットプレーヤーなども一体となって販売していくことにした。ジャケットが飾れるレコードプレーヤーは大きな反響を得ている。
後半に向けては製品の価値をより伝えられるようにする。新製品も発売するため付加価値を提案できるようにしたい。また、高機能化を進めるだけでなく本当に使う機能を引き算し、顧客が求める機能を厳選して新たな価値を提供できる製品の開発にも着手する。