2025.10.03 リコー、金融業務特化型「LLM」開発 10月末から個別提供
リコーは、オンプレミス(自社保有)環境で導入可能な同社製 700 億パラメーターの大規模言語モデル(LLM)に、金融業に特化した業務内容や専門用語を学習させた「金融業務特化型 LLM」を開発した。合わせて、金融業で利用される融資稟議書のドラフトを自動生成する「Difyアプリケーション」も開発し、10 月末から顧客への個別提供を始める。
今冬から、リコージャパンが提供する「RICOH オンプレ LLM スターターキット」に搭載し、金融業向けのセキュアで包括的なAI (人工知能)パッケージとして提供する。
銀行や保険会社をはじめとする金融業界では、生成 AI を活用した業務効率化や生産性向上の取り組みが加速しています。一方で、金融業務には、長年の経験で培われた専門知識や、複雑な金融商品を扱うための高度な専門知識が不可欠で、顧客の多様なニーズに応じた個別対応も求められている。
さらに、金融機関で扱う情報資産には、業界特有の言い回しや複雑で多様な図表が多く含まれ、AIによる利活用が難しいことから、個人の経験や勘などに基づくて暗黙知への依存による業務の属人化が課題となっている。
同社はこうした課題に対して、金融用語を事前学習。金融業で扱う各種図表の読み取りが可能なLLMやDifyアプリケーションを活用することで、融資稟議書作成など業界特有の業務をAIで支援する。
暗黙知を形式知化することで、過去の類似案件の検索や文書作成に要する時間を大幅に削減し、個人の経験やスキルに左右されがちな記載内容のバラつきを解消。組織全体の業務品質向上と情報資産の一段の有効活用を実現する。さらに、AIによる支援で削減された時間を営業活動や顧客対応に充てることで、顧客満足度の向上にもつなげることができるという。