2025.10.24 パナソニック エナジー、3電源連携のシステム運用 工場電力の15%自給実現

「エボルタNEO」のデザインが施された水素タンク

パナソニックEW社製の5kW純水素型燃料電池パナソニックEW社製の5kW純水素型燃料電池

 パナソニック エナジーは、二色の浜工場(大阪府貝塚市)で太陽電池・純水素型燃料電池・蓄電システムを連携制御するエネルギーマネジメントシステム(EMS)の本格的な運用を始めた。これにより、再生可能エネルギーを最大限活用し、工場で使用する電力の15%を自給できる体制を構築した。今後、2050年に自社設備に再エネを100%導入する目標の達成を目指す。

 同工場では、環境と調和したモノづくりを掲げ、再生材を利用した製品の生産や使用済み乾電池のリサイクル推進などの環境配慮型の取り組みを強化。23年には、工場敷地内に設置するオンサイト太陽光発電や、敷地外の太陽光・風力・地熱発電由来のオフサイトコーポレートPPA(Power Purchase Agreement=電力購入契約)を活用。さらに非化石証書の購入などを通して、二酸化炭素(CO2)実質ゼロの工場を達成している。

 今回、工場敷地内の太陽電池に加え、新たに純水素型燃料電池と同社製セルを使用した蓄電システムを導入。これら3種の電源を連携制御するエネルギーマネジメントシステムを構築した。

 電力需要や太陽光発電の出力の変動をリアルタイムで監視し、太陽光発電の不足電力を純水素型燃料電池の発電で補完する。

 電力需要のピーク時には蓄電システムから電力を供給することで、電力ロスの最小化と安定供給の実現を図る。本格運用の開始により、再エネによる給電量は従来比で最大約1.5倍に向上する効果を見込んでいる。

 太陽光発電では、国内の製造拠点におけるオンサイト型として最大規模の約2MWの太陽光パネルを設置している。純水素型燃料電池は、パナソニック エレクトリックワークス社製の5kWタイプ6台を使用し、最大で約30 kWの発電が可能だ。

 また、高さ17mの水素タンクには二色の浜工場で生産している乾電池「エボルタNEO」のデザインが施され、水素社会のインフラの象徴として地域のランドマークを目指す。

 同社製セルが搭載されている蓄電システムの蓄電容量は約2MWhで、一般家庭約180世帯の1日分の電力に相当する。約14万本の円筒形リチウムイオン電池が制御盤によって精密に管理されているため、秒単位での高負荷変動時にも迅速かつ安全に対応。系統電力への負荷低減や生産設備への安定利用や、電力の平準化に寄与する。

 今後は、市場で使用済みとなった同社製蓄電モジュールなどを回収したリユースも視野に入れ、循環型社会の実現に向けた取り組みも加速する。

 また50年までに、設備増設やグリーン水素調達などを通して、自社で再エネ100%導入という目標の達成を狙うほか、同社海外工場の再エネ普及の展開にも貢献していく。