2025.10.10 パナソニック、「照明器具」×「ロボット」でスマートビルの価値向上へ ugoと技術検証

(左から)パナソニック エレクトリックワークス社の楠田氏、ugoの松井健代表取締役CEO

異常物を発見した「ugomini」はLiBecoMと連携し、照明を点滅させて場所を知らせてくれる異常物を発見した「ugomini」はLiBecoMと連携し、照明を点滅させて場所を知らせてくれる

 パナソニック傘下で電設資材などを手がけるエレクトリックワークス社とロボットスタートアップのugo(ユーゴ―、東京都千代田区)は、サービスロボットの運用効率を高める技術の検証を始めた。照明器具とロボットを連携させる仕組みを実現。12月までの期間中に有効性を確かめる。

 9月に始めた検証では、天井に設置されたビーコン(電波受発信器)付き照明設備の情報を活用。フロア内のロボット稼働エリアの95%以上で、ロボット単独による稼働の再開を目指す。

 さらに、建物内のエリアと照明設備をひも付けた管理により、「ヒト・モノ・ロボット」の効率的な配置と運用の可能性について検討する。両社はこうした取り組みを、先進技術を活用して運営効率や快適性を高める「スマートビル」の価値向上につなげたい考えだ。

 役割分担は、パナソニックがビーコン付き照明設備「LiBecoM」が設置されている研究開発施設「SHIOMER」(同港区)を提供。ugoは、自走式ロボットによる自己位置の推定や自動復旧の技術開発を担う。

 また、ロボット単独でのトラブル復旧について検証するほか、点検・警備サービスや対人サービスの活用事例も検討。照明器具の立地を生かし、ロボットサービスの品質向上についても検証する。

 既に建物へのサービスロボットの導入が進んでいるが、フロア内のロボットの位置情報はロボット自身が管理している。このため、ロボットを人手で移動する手間が発生。トラブルでロボットが現在位置を見失ってしまった際には、所定の初期位置から稼働させる作業が必要となっていた。

 こうした課題の解決に向けた第一歩として、照明器具からのビーコン信号に着目。フロア移動やトラブル時にロボットが単独で再稼働できるようした。さらに、ロボット同士が共通の「MAP」を用いて位置を共有することで、互いの行動を阻害することなく協働できるようになる。

 パナソニック エレクトリックワークス社ソリューションエンジニアリング本部の楠田駿氏は「各ロボット間に位置情報を共有する仕組みが今のところないため、ロボット同士の鉢合わせやスタックなどによる稼働率の低下が今後の課題になる」と説明した。

 今回の検証を経て2026年に、テストマーケティングを開始。27年には標準化提案に着手し、28年のサービス提供の開始を目指す。