2025.11.17 大阪メトロ「夢洲駅」 北米照明学会賞受賞 照明デザインが評価

移動の魅力を発信し、日本文化の要素も取り入れた駅空間を創出

 大阪・関西万博の象徴的な玄関口となった大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の「Osaka Metro 中央線 夢洲駅」(同市此花区)が、このほど北米照明学会(IES)主催の「2025 IES Illumination Awards(北米照明学会賞)」で、「Award of Merit(照明メリット賞)」を受賞した。

 夢洲駅の照明デザインに参画したコイズミ照明と安井建築設計事務所の両社連名による受賞となった。

 北米照明学会賞は、権威ある国際的な照明学会が主催する国際的なデザイン賞で、作品の専門性や創意工夫、オリジナリティを評価基準とする。照明メリット賞は、中でも特に称賛に値すると認められた優れた作品に授与される。

 夢洲駅は、大阪・関西万博の開催に合わせて開業し、今後IR整備が進む国際観光拠点「夢洲」の玄関口として設計されている。単なる交通施設ではなく、移動の魅力を発信できる「移世界劇場」をコンセプトに、駅がパビリオンの一つとなり、まちとともに変化を続け、駅自体が目的地となる駅を目指している。

 デザインの核となる「折り紙天井」は、日本の鉄道の正確性や技術力を象徴する「運行ダイヤ図」と、日本の伝統文化の「折り紙」、多様性を映す「鏡面」を融合させた設計となっている。

 これにより、移世界へ誘う門型照明がサイネージ映像をやわらかく映し出し、その時だけの多彩なシーンを生み出す「いきいきと動く駅」を実現する。

 門型照明は、異なる空間をつなぎ、境界に象徴性を作り出す日本の伝統的な空間演出手法に基づいてデザインされた。

 光をくぐり進むことで、時間や空間を移動するような体験や期待感を演出。「直観的に誰でも分かる」誘導も兼ねる未来への玄関口を表現した。

 また、調光・調色機能を取り入れ、時間軸に合わせて光の色が変化するようにし、始発から終電まで時間に応じた照明演出を実現した。メンテナンス性や更新性も考慮し、天井のパネルの間に独立した照明と設備スリットを交互に配置し、複雑に見える折り紙天井をシステム化している。