2025.11.27 AI開発を支援する協同アライアンス「Enable AI Foundry」発足

「Enable AI Foundry」参画メンバー(左から、クロステック・マネジメントの小笠原治取締役=京都芸術大学教授=、シャープの伊藤典男研究開発本部長、シャープの種谷元隆専務執行役CTO、Jizaiの石川祐樹代表取締役CEO、さくらインターネットの角俊和AI事業推進室長)

 京都芸術⼤学発のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進企業クロステック‧マネジメント(XTM/京都府京都市、北村誠代表取締役)は、シャープをはじめ国内企業8社と共に、地方のAI(人工知能)開発を支援する協同アライアンス「Enable AI Foundry」を26日に発足した。

 ⽣成AIは創造性や⽣産性を⼤きく引き上げる可能性を持つ⼀⽅、その実現には膨⼤な計算資源と、スマートフォンに相当する“AIの媒体”となるハードウエアが不可⽋となる。

 ただ⽇本では、計算資源の不⾜やハードウエアの不在、実装に向き合う人材不足、他国依存による経済安全保障上の懸念、さらに地域ごとの取り組みが分散して規模を⽣みづらい構造が課題となっている。

 今回の協同アライアンスは、個⼈‧企業‧⾏政‧教育機関が、AI開発の前提条件(計算資源‧学習機会‧データ整備‧実証環境‧⼈的ネットワーク)にアクセスできる協同基盤を作ることで、地域や組織間のAI活用格差を縮小し、AI産業全体の成長に貢献していくのが狙い。

 まずは活動拠点として、⼤阪‧京都‧福岡‧沖縄から、イベント開催時に⽴ち上がるモジュール型の「Enable AI BASE」を展開し、勉強会やPoC(概念実証)支援、ハッカソンなどの実装活動に取り組み、地域からAI⼈材ネットワークを育てるとともに、AIをつくる人、使いこなす人、社会実装する人が広く交わることで、新たなプロジェクトが地域から生まれる循環を育てていく。

 同アライアンスには、GPU(画像処理半導体)クラウド、ハードウエア、AI実装⽀援、データ運⽤、地域開発など、多様な専⾨性を持つ9社が参画。プロジェクトごとに強みを柔軟に結び合わせる協同ネットワークとして機能し、AIを使った製品やサービス、ソリューション開発をサポートしていく。

 参画するのは、シャープ、さくらインターネット、Tellus、Jizai、miibo、バオバブ、アクティバーチ‧コンサルティング、⽠⽣⼭学園、京都芸術⼤学、クロステック‧マネジメント。

 同アライアンスでは、五つのドメイン(Life/Learn/Make/Work/Enjoy)ごとに、AIが実現する未来像を設定し、その実現に必要なサービス‧プロダクト‧研究開発などのアウトプットを個別プロジェクトのオーナーが提案する。事務局は構成員‧会員とのマッチングや活動期間の進⾏管理を担い、プロジェクトの推進を⽀援する。

 また、アクティビティ(調査・研究・企画・開発・設計・製造・政策協議など)の質を⾼めるために、勉強会‧イベント‧取材会などの学びの機会を提供し、領域横断で協同できるネットワークを広げ、継続的に活動が⽣まれる仕組みを育てていく。

 現在開発テーマとして5ドメインで二つのテーマとなる計10プロジェクトを進めていく予定だ。
例えばシャープでは、プライバシーに配慮した心理的安全性と利便性の高い生活環境の構築に向け、「セマンティックカメラ(画像・映像を残さず事象のみ通知・記録するカメラ) by  CE-LLM」をテーマに、ハッカソンを実施してデバイス・ユースケース/アプリケーションの開発につなげていく。

 構成員とは別に、テーマ単位で参加を検討してもらう個人・法人会員の制度も26年2月を目途に開始する準備も進めている。