2025.09.19 シノプシス、アンシス買収し一気通貫の製品提供へ ユーザー向けイベントで姿勢鮮明

AIを使ったシノプシス製ツールに関するパネルディカッションもあった

オープニングのあいさつをする河原井社長オープニングのあいさつをする河原井社長

サブラマニアン氏もAIを使った製品を紹介サブラマニアン氏もAIを使った製品を紹介

 半導体設計のEDA(電子設計自動化)ツール大手、米シノプシスは、解析ツールを手掛ける米アンシスの買収を7月に完了し、回路設計からシミュレーションまでを統合的に提供する戦略にかじを切っている。19日に都内で開かれた日本法人のユーザーイベント「SNUG JAPAN」で、シノプシスが目指す方向が鮮明となった。さらに、チップレット設計に関するツールもアピールした。

 「アンシスが得意とするシステムを中心にしたデジタルツインと、シノプシスが得意とする電気電子のデジタルツインを、一気通貫して届けられるようなソリューションだ」。SNUG JAPANのオープニングに登壇した日本シノプシスの河原井智之社長はこう語った。CAE(コンピューター支援エンジニアリング)ツールを組み込み、幅広い製品の展開を目指す。

 シノプシスでチーフ・プロダクト・マネジメント・オフィサーを務めるラヴィ・サブラマニアン氏の基調講演でも、そうした戦略が述べられた。

 サブラマニアン氏は「Re-engineering engineering(エンジニアリングの再構築)」をテーマに講演し、ハードウエアとソフトウエアの開発を統合的に進める技術動向を紹介。SDV(ソフトウエア定義型車両)やデータセンターを例に挙げ、回路設計やシミュレーションを支援する同社の強みをアピールした。

 今回のイベントでは、複数のチップを1パッケージにまとめる「チップレット」がテーマだった。前工程に当たる回路設計だけでなく、後工程で先進パッケージを実現する設計も重視される傾向がうかがえた。とりわけ縦型に積層するパッケージでは、放熱設計が複雑になり、熱解析ツールにも強みがあるアンシスの技術が生きてくる。

 SNUG JAPANは、シノプシス製品のユーザーが集結するイベント。ソシオネクストやルネサスエレクトロニクス、キオクシアなど、有力企業の事例を紹介するセッションにも注目が集まった。今回は、オンラインを含めて1400人以上の登録があったという。