2025.12.04 トルコのGOEN、韓国LGESと共同で電池生産

GOENのゴクハン・ユルティズ会長

 トルコのエネルギー企業GO Enerji(ゴーエネルジ、GOEN)が韓国のLGエナジーソリューション(LGES)と共同で、アンカラに電池パックの製造会社を共同で設立する。電池パックは、複数の電池セルがひとつのシステムに組み込まれている。初期投資額は4500万ユーロ(約82億円)で、組み立てられた電池パックは主に車載用と据置用の蓄電装置(BESS)に使用される。

 GOENによると、新工場は2026年第2四半期に稼働予定。当初は年間2.5GWhの生産容量で、2年以内に7.5GWhまで拡大する。長期なら10億ユーロ以上の投資になるというのが、当事者の見方だ。当初100人の従業員でスタートするが、フル稼働時には900人程度の雇用を見込む。

 GOENのGokhan Yildiz(ゴクハン・ユルディズ)会長は、電池パックの生産で外国製素材への依存を徐々に減らしていきたい考えで、「Made in Turkey」を前面に打ち出し、LGESの世界の顧客やトルコ国内市場へ供給していく。国外の販売では、トルコという地理的な優位性を生かす方針で、ユルディズ会長は「欧州、アフリカ、中東が3大市場になりそう」との見方を示している。

 今回、GOENとLGESは製造のほか、研究開発センターも設置する意向で、将来の電池セルで国内生産の可能性を見据えた蓄電技術分野の技術者育成でも協力していくことになっている。

 2003年設立のGOENは、トルコを代表する再生可能エネルギー事業者。太陽光発電施設の設計・調達から設置・維持・サービスに至る一貫サービスを内外市場に提供している。

 トルコでは、米フォードと地元資本と合弁商用車メーカーのFord Otosanが、LGESも出資する新合弁電池工場から供給を受けることになっていた。しかし、電気自動車(EV)市場の不安定と資金調達の問題から、23年初めに電池合弁計画が破綻している。LGESにとって今回の合意は、その埋め合わせの意味もありそうだ。一方で、トルコのアルドアン大統領と韓国の李在明大統領が11月にアンカラでの会談で合意した動きが、今回の共同生産の布石になっていることも確かだ。