2025.12.17 TDKラムダ、再生可能エネルギーの直流グリッド向けの電源2シリーズを開発 送配電ネットワークの高効率化に貢献

EMAシリーズ

EDCシリーズEDCシリーズ

 TDKは、再生可能エネルギー市場で、直流グリッド(DCグリッド)の実用化に照準を合わせたTDKラムダブランドの電源製品開発を加速している。DCグリッドシステム用の新製品として太陽光発電の効率を最大化するMPPTコンバーター「EMAシリーズ」と、小型・大容量ユニット型DC-DCコンバーター「EDCシリーズ」を発表した。

 現在の再エネ市場での送配電システムは、大半がAC(交流)グリッドだが、再生可能エネルギー源の増加や蓄電池からの融通、変換電力ロスを無くすことを念頭に、将来的に効率の良いDCグリッドに置き換える構想が検討されている。ただ、現状ではDCグリッドの実用性に不可欠な各構成パーツが少なく、現在はまだ各大手企業による実証実験段階にとどまっている。

 TDKラムダはDCグリッドに着目して、約10年前にDCグリッドに対応する双方向DC-DCコンバーター「EZAシリーズ」を開発したが、今回新たにDCグリッド対応の2シリーズを開発した。

 MPPTコンバーター「EMAシリーズ」は、太陽光発電の効率を最大化できるMPPT制御(最大電力点追従制御)可能な電源。気象条件など日射量の変化で変動する太陽光発電の最適動作点に追従しながら動作を行い、DCバスラインに最大電力を供給する。

 昇降圧コンバーターの採用により、PVストリング電圧(50~1000VDC)からDCバス電圧(240~850VDC)間の設定で、昇圧だけでなく降圧動作も可能なため、DCバス電圧に関係なくPVストリング電圧を設計できる。

 サイズは、W422.8×H88.0×D530.0mmの19インチラックマウント型。非絶縁タイプのため高効率(効率97.5%)を実現しており、電力ロスを最低限に抑える。ModbusRTU(RS―485)通信を採用することにより、動作状態や入出力電圧・電流の読み取り、設定・動作指示が可能。

 用途は、バッテリーを併設した太陽光発電システム。TDKラムダが2026年2月から受注活動を開始する。

 小型・大容量ユニット型DC-DCコンバーター「EDCシリーズ」は、DC入力でありながら、出力のCVCC動作のほか、出力電流・電圧とも定格0%から設定可能。直並列接続がフレキシブルであり、直列接続で最大468VDC(3台接続時)、並列接続で最大85.5kW(3台直列接続×10台並列接続時、EDCM3000ベース)の拡張性が高い電源だ。同社は「EDCシリーズは、CVCC制御対応で出力電流・電圧とも0%から設定可能なDC入力制御用電源として、世界最高のパフォーマンスを実現した」としている。

 用途は、バッテリーやDCバスを中心としたアプリケーションに適しており、産業用機器、鉄道関連、評価開発など幅広い用途で使用できる。

 製品ラインアップは、「EDCMモデル/3000W」と「EDCLモデル/1500W」があり、EDCMはTDKラムダが12月16日から受注開始した。EDCLは26年1月から受注開始する。「その後も順次レパートリーを増やしていく予定」(同社)。

 販売目標は、EMAシリーズとEDCシリーズを合わせ、5年後の2030年に年間20億円の売上を目指す。