2026.01.05 太陽誘電、手のひらサイズの高断熱・耐熱マイクロリアクター共同開発 エッジデバイスに直接給電への応用に期待

 太陽誘電は、東京科学大学未来産業技術研究所、東京理科大学、フタバ産業と共同で、化学燃料を高効率に電気変換し、高温で動作する固体酸化物形燃料電池(SOFC)を手のひらサイズまで小型化し、発電を実現する高断熱・耐熱マイクロリアクターの開発に成功した。

 共同研究では、熱応力を緩和できるカンチレバー構造を持つマイクロリアクターと、多層断熱構造の筐体(きょうたい)を組み合わせることで、常温からSOFCが動作する約600℃まで5分で昇温し、起動・発電することを実現した。従来の大型定置用燃料電池を大幅に小型化することで、ポータブルエネルギーシステムへの展開が可能となり、将来的にはエッジデバイスへ直接給電できる高エネルギー密度の電源としての応用が期待されるという。

 近年、AI(人工知能)やドローン、ロボットなどの技術導入が社会のさまざまな分野で進み、これらの機器を駆動するための高エネルギー密度かつ長寿命な電源が求められている。特に、送電網がない地域や極地、災害・緊急時などに動作させるエッジデバイスでは、外部の送電網に依存しないエネルギーシステムが必要となる。

 SOFCは、そうした電源の有力な候補として注目されている、化学燃料を高効率に電気に変換できる次世代エネルギーデバイスで、リチウムイオン二次電池と比較し高いエネルギー密度と燃料多様性というメリットがある。だが、従来の用途は大型定置型用電源に限られ、手のひらサイズまでの小型化には多くの課題があった。

 今回の共同研究では、高い断熱性と耐熱性を両立できるカンチレバー構造(※)や多層断熱構造の設計のほか、高い熱安定性を有する金属支持型SOFCセルを採用することで、常温から5分以内で600℃以上へ昇温し、高速起動・発電が可能で、体積も5×5×5cmの小型化を実現した。

 同社が開発した金属支持型SOFC(MSーSOFC)セルは、金属材料による支持体を設けることで、急速昇降温に対応可能。さらに積層セラミックコンデンサー(MLCC)などの電子部品事業で培った材料技術をもとに電解質を薄層化することで、SOFCでは中温領域である600~750℃で0.7W/cm²以上の高い発電特性を実現した。

 (※)カンチレバー構造 支持部材に一端のみ固定し、他端を固定しない構造。一端のみ保持することで熱膨張などの応力が緩和され、セルの破壊などを防ぐことができる。