2025.12.11 SMKなどがスマート薬箱による服薬アドヒアランス支援モデルの実証を開始 神奈川県のME―BYOリビングラボ実証事業に採択
スマート薬箱
SMKは、川崎市薬剤師会(伊藤啓会長)と横浜薬科大学と共同で、服薬支援デバイス「スマート薬箱」を活用した服薬アドヒアランス向上モデルの実証事業を開始した。
同事業は、神奈川県が推進する「神奈川MO-BYOリビングラボ」の実証事業として採択された。服薬アドヒアランスは、患者が治療方針に納得し、主体的に薬を適切に服用し続ける姿勢や行動を指す。
慢性疾患の治療で継続的な服薬が必要な患者の中には、朝、昼、夕、寝る前など複数回の服薬で、「飲み忘れ」や「服薬時間を意識できない」などの悩みを抱えている人がいる。一方で薬剤師は、患者の実際の服薬状況を把握しづらいという課題を抱えている。
実証では、患者、薬剤師の双方の課題解決を目指し、SMKが開発したスマート薬箱のアラーム機能と引き出し開閉検知データを活用することで服薬行動を可視化。薬剤師がデータに基づいた支援を行うといった患者の行動変容と服薬アドヒアランスの向上を検証する。
実証期間は今年10月から26年3月までの予定。実施対象は、川崎市薬剤師会会員薬局の利用者(患者)約20人。実証では、スマート薬箱を利用する患者と利用しない患者の比較研究を行う。検証項目は、服薬率の維持・向上、薬剤師の支援行動変化、服薬行動データを活用した支援効果。
3者の役割分担は、SMKはスマート薬箱の提供・機器サポートとデータ連携・解析支援、川崎市薬剤師会は実証フィールド提供と対象者選定および現場支援、横浜薬科大学は研究デザイン策定、データ解析、学術的評価を担当する。
SMKのスマート薬箱は、4つの引き出しを備えた服薬支援デバイスで、設定時刻になるとLED点灯と音声で服薬を知らせ、引き出しの開閉を検知して記録する。スマートフォンアプリを通じて服薬状況を可視化し、クラウド経由で薬剤師や家族が確認できる。これにより、薬の「飲み忘れ」「飲み間違い」「飲み過ぎ」を防ぐとともに、服薬行動データを活用した新たな服薬支援モデルの確立を目指している。
「ME-BYOリビングラボ」は、県民の意識・行動変容を促し、未病改善や健康寿命延伸につながる製品・サービスの社会実装を支援する取り組み。
同社は、同実証で得られた知見をもとに、服薬支援の標準モデル化や薬剤師の業務効率化につなげることを目指す。スマート薬箱の社会実装に向け薬局や医療機関との連携を強化し、高齢者や慢性疾患の患者が安心して治療や日常生活を続けられる環境づくりに貢献していく。









