2026.01.16 「グリーンランド、地下資源の開発容易に」JABM賀詞交歓会で有泉会長

JABMの有泉会長

 日本ボンド磁性材料協会(JABM)は、東京都内で新春公開セミナーと賀詞交歓会を開催し、有泉豊徳会長は国際情勢が激しく展開する中での相互協力を呼びかけた。

 ボンド磁性材料は樹脂などと磁性粉末を複合し、射出成形してモーターやセンサーの磁石に使う。フェライトのほか、ネオジムなどの希土類(レアアース)を取り扱う。希土類の産地は海外が中心で国際情勢と関わりが深い。

 あいさつに立った有泉会長は、米トランプ大統領が意欲を示すデンマーク自治領のグリーンランドの領有に向け「アメリカ軍の活用も選択肢にある」と表明したことを踏まえ、「グリーンランドは地球温暖化による氷床融解で地下資源へのアクセスが容易になり資源開発が安価になる。ロシアによるウクライナ侵攻や米国のベネズエラ運営に地下資源目的を考えたくなる」と語った。続けて「26年のJABM国際会員は15企業あり、うち14は中国の会員企業だが現在退会などの兆候もなく安堵(あんど)している。JABM全体では2025年度末の総会員数は118。前年同期は120。内訳は入会3、退会5であった。激しく展開する国際情勢だが、26年度も希土類産業の経済的重要性を考慮し、JABM会員は相互協力を行い発展できる年にしたい」とした。

 これに先立つ公開セミナーには、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの政策研究事業本部経済・産業ユニットの主席研究員の清水孝太郎ユニット長が登壇。「希土類(レアアース)産業の経済的重要性と今後期待される研究開発ほか」と題して講演した。日本希土類学会の25年講演会で紹介した内容を基礎としつつ、今後の市場動向に影響する事項として国際希土類工業協会の活動からみえる欧米勢の懸念、分析技術からみえる中国希土類産業の実力、希土類をディールの材料とする米国の本心、新たな市場ルール形成の場となりつつある国際標準化動向に触れた。

 希土類の年間生産量は鉄鉱石などと比べて極めて少ないにもかかわらずネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)磁石をはじめ幅広い用途で不可欠な存在で、触媒、蛍光体、電池材料など多様な分野で利用され、産業基盤となっていることを強調した。

 セミナー後は会員との活発な質疑があった。資源の産出だけでなく精製工程で特定の国が突出して高いシェアを持ち、不純物の除去などで高度な技術を蓄積していることについて意見交換があり、賀詞交歓会でも、広く注目を浴びる産地多様化だけでなく精製の重要性があらためて浮き彫りになった。