2026.03.05 欧州委、「産業促進法」制定へ 中国企業を意識し厳格な法案に

IAA法をまとめた欧州委員会のステファン・セジュルネ委員

 欧州委員会は4日、欧州域内の製造業強化と雇用創出を目的にした新しい法案「産業促進法」(Industrial Accelerator Act、IAA)を正式に発表した。米国が大型補助金で産業回帰を促す「インフレ抑制法(IRA)」に対抗する欧州版と位置付けられそうだ。

 IAAは、ステファン・セジュルネ産業政策担当委員が中心になってまとめた。電気自動車(EV)や太陽光パネル、風力発電、ヒートポンプといったネット・ゼロ技術や脱炭素関連の重要産業で、「Made in Europe」を推進。これにより域内産業の振興や脱米国・中国、雇用の創出を促すことが、法案の狙い。

 法案の成立と施行に向けては、欧州議会とEU(欧州連合)理事会での審議を経て採択するという流れ。成立は、早くても2026年後半、または27年以降になる見通しだ。

 今回の法案では、安価な中国製EV や再生可能エネルギー関連機器の流入への対抗策として、「欧州製」基準を明確に打ち出した。公共調達や補助金の支援を受ける場合に、企業に対して域内製部品の使用を義務付ける。例えば、EV分野では、部品の70%を域内調達とし、欧州人の雇用比率を50%以上とするなどの条件を課す。

 域外からの大型直接投資についても、自動車、電池、太陽光パネルなどの分野で、世界の製造能力の40%を超える非EU企業が1億ユーロ超を投じる場合、特別要件を満たさなければ、原則として認可されない。

 IAAでは、EU人材を50%以上確保することに加え、技術移転による実質的な価値創出や欧州サプライチェーンへの統合、さらには持株比率の制限などが市場参入の必須要件とされており、事実上、進出を目指す中国企業にとっては厳しい条件となっている。

 EUは、IAAの導入を通じて、24年時点でGDP(国内総生産)の14.3%にとどまった域内製造業の比率を、35年までに20%へ引き上げる目標を掲げている。