2026.03.08 グリーンと東京エレクトロンデバイス、鹿児島でスマート農業 AIで生産性向上
データに基づく栽培管理で、多様な作物の収穫の安定化と品質向上を狙う
人工知能(AI)を活用した農業向けソリューションを提供するグリーン(東京都港区)は、東京エレクトロンデバイス(TED)と連携し、鹿児島県南種子町でスマート農業の取り組みを進めている。パプリカの年間出荷量が前年の約4tから約8tへ倍増する見込みが得られるなど、生産性向上の成果が着実に表れ始めた。
同町は種子島の南部に位置し、サツマイモやトマトなどの農作物を主力とする。この地では、高齢化や人手不足が深刻化。経験や勘に依存した栽培方法による収量や品質のばらつきが課題となっていた。加えて、近年の気象変動が生産に影響を与えており、安定的な農業経営への転換が求められていた。
こうした中で同町に採用されたソリューションが、グリーンが開発した「e-kakashi(イーカカシ)」だ。圃場に設置したセンサーを通じて温度・湿度・日射量などの環境データを収集し、クラウド上でAIによる解析を実施。得られた分析結果を栽培管理に反映し、現場の生産性向上につなげる。
同町では2025年7月から、まず町内24戸の農家にイーカカシを導入。同年9月にはカボチャを栽培する6戸を加え、合計30台の機器が町内の圃場で稼働している。すでに気象条件の影響を抑えて収量の安定化と品質の向上を両立させるなど、導入の手応えを得ている。
機器の提供や技術面の役割を担うのがTEDだ。イーカカシに搭載されているIoTゲートウェー(センサーモジュール)をグリーンに提供し、製品化に向けて最適化や信頼性の検証に共同で取り組んだ。圃場からクラウドへのデータ送信を担うゲートウェーはサービスの要で、TEDは実装段階でも技術支援を継続しているという。
今回のプロジェクトは、TEDのパートナーであるシーズテクノロジー(横浜市)が運営する「シーズファーム」にイーカカシを導入したことがきっかけで始動した。シーズテクノロジーを介して同町と連携し、行政・企業・農家が連携する「地域ぐるみのプロジェクト」へと発展した。
グリーンは今後も、イーカカシの機能拡張とサービスの高度化を進め、生産者の収益最大化と持続可能な農業の実現を後押しする。行政や地域パートナーとの連携も深め、人手不足や技術継承、気象リスクといった課題への対応に力を入れる。TEDも、イーカカシのサービス基盤を技術面から支えていく。








