2026.06.01 【ITサポートサービス特集】ITサポートサービスの領域拡大 AI・DX活用で付加価値サービス強化
さまざまな機器を保守対応するサポートサービス各社はCEの技術力向上にも力を入れる
マルチベンダー保守の引き合い旺盛
メーカーや機器を問わず対応
企業や社会を支えるIT(情報技術)機器や設備機器を安定して動かす支援をしているITサポートサービス各社は、自社が持つ保守拠点や監視運用センター、コンタクトセンター網を生かし、ITだけでなく、さまざまな機器の保守を強化している。企業のデジタル化が進む中、情報システムを安定稼働させ、より高度な企業運営をしていくニーズは高まっており、サポートサービス各社への要求も一段上がってきている。企業が進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援を進めるところも増えている。最新のITサポートサービスの動向を追う。
ITサポートサービスは、従来の情報システムの故障対応から対象領域を広げている。多くの企業がDXに取り組み、情報システムのクラウド化が進む中では、サーバーやネットワーク機器といったこれまでの保守が減少していることも背景にある。サポート各社は全国拠点網を生かし、IT機器にとらわれない付加価値の高いサービス展開を強化しており、この数年はメーカーや機器に依存しないマルチベンダー保守を拡大する動きが活発だ。
AI(人工知能)などのデジタル技術が普及しても、私たちが実際に使う機器の保守は人に依存せざるを得ない。少子高齢化に伴う人手不足もあり、サポートサービスの領域でも全国規模で高度な保守対応ができるサポートサービス企業を求める声は多くなっている。特に日本に保守拠点を持たない海外ベンダーの製品保守に対する要望が増えているほか、保守対応する地場企業の撤退といった動きもあり、全国拠点網を持つITサポートサービス企業に声がかかるケースもある。
全国保守網強みに丸ごと請け負う案件も
主要なITサポート企業は、メーカー系ではNECグループのNECフィールディングをはじめ、富士通グループのエフサステクノロジーズ、日立製作所グループの日立システムズ、OKIグループのOKIクロステック、東芝グループの東芝ITサービスなどがある。いずれの企業も全国拠点網を持ち24時間365日の保守運用を標ひょう榜ぼうする。
最近はSI(システム構築)企業が構築したシステムの保守対応を丸ごと引き受ける事例や、IT以外のメーカーの機器保守を丸ごと受ける事例なども出ている。保守サポートが重要な半面、拠点網を維持するのに多大なコストがかかるため専門のサポート企業に丸ごと委託することで、メーカーやSI側はコストを抑えながら保守品質を担保できるようになる。逆にサポートサービス企業は全国拠点網の稼働率を高められ、双方にメリットがある提携になるわけだ。
もちろん、マルチベンダー保守をしていくためにサポートサービス企業は技術力を底上げする必要があるとともに、人材を確保していかなければならない。この課題を解決するために保守のDX化にも取り組み、AIを活用した保守品質の向上と効率化も進めている。NECフィールディングはAIなどを活用した保守システムを構築しているほか、日立システムズは日立製作所グループのデジタル基盤「Lumada(ルマーダ)」との連携もしている。保守のDX化は今後もさらに進みそうだ。
医療、エネルギー、セキュリティーなど対応範囲拡大
ITサポートサービス各社でも特徴があり、コンピューター系が強いところから、社会インフラの支援までできるところまで幅広い。
NECフィールディングは圧倒的な全国拠点数を生かしたサポートを特徴にするとともに、AIなどを活用した高度な保守対応を強化。IT機器の保守に加え、医療機器や冷媒を使った店舗設備などの保守にも取り組む。ITシステムの構築、運用、保守から社会インフラの保守まで対応できる日立システムズは、保守のDX化を進めるとともに他社へのサービス展開も進める。
OKIクロステックは、ATM(現金自動預払機)の保守運用で培った知見を生かしたHA(ハイアベイラビリティー=高可用性)サービスを展開するとともに、成長領域として医療とエネルギーに取り組む。医療機器は全国対応ができ、既に約50社のメーカーと提携して保守を進める。エネルギーでは電気自動車(EV)充電設備の保守対応も本格化した。
保守対応に加え需要が増えてきているのがセキュリティー運用監視サービスだ。ITサポートサービス企業ではSOC(セキュリティー運用センター)を持ち、セキュリティー監視をサービス展開するところもある。日立システムズはグローバルでセキュリティー監視サービスを展開する強みを生かし、国内企業のセキュリティー支援を行う。東芝ITサービスは、東芝グループのセキュリティー運用の実績を生かしたセキュリティー監視サービスを展開する。
企業のDX化を支援する動きもある。多くの企業がDX化に取り組む半面、導入したデジタル技術を使いこなせない企業も多い。パーソルコミュニケーションサービスは、コンタクトセンターで培ってきた知見を生かし、センター業務の高度化に向けた支援をはじめ、「マイクロソフト365」や「セールスフォース」といった現場支援のシステムの活用を支援するサービスを強化している。
ITサポートサービス各社が行うサービスの幅は広がっている。人材不足が叫ばれる中、各社のサービスが多くの企業が目指している業務や経営改革の下支えになりそうだ。







