2026.10.02 日立とファナック、生産現場でフィジカルAIの共同実証 27年度から事業展開 

日立製作所の德永社長兼CEO (右)とファナックの山口社長兼CEO(提供:日立製作所)

 日立製作所とファナックは、複雑な作業にも適用できる高度な「フィジカルAI(人工知能)」の共同実証を進めると発表した。日立の短期学習を可能にするAIにファナックの産業用ロボットを融合し、製造現場への実装に必要なフィジカルAIの技術を確立し、2027年度からの事業展開を目指す。

 両社は今回、フィジカルAIの共同事業化に向けた戦略的パートナーシップを締結した。労働力不足が深刻化する中、フィジカルAIで人手に頼る作業を自律化し、生産性向上や技能継承といった社会課題の解決を支援する。

 共同実証では、AIが生産活動での現場固有のルールを継続的に学習する仕組みを構築。現場で発生する課題に柔軟に対応できるフィジカルAIを実用化する。まずは日立の茨城地区の工場を「カスタマーゼロ(最初の顧客)」として活用し、27年度までに実際の製造現場への実装に必要な技術を確立する。

 実証の場所は、多様な形状の部品のピッキングや生産品の変更に伴う段取り替えなどを行う現場。日立のフィジカルAIモデルとファナックのロボット・AI技術を組み合わせ、認識精度や動作、タクトタイム(工程作業時間)などの有効性について検証し、改善していく。

 日立は、幅広い産業用製品に搭載可能な「エッジAI半導体」を開発している。それにファナックのロボットを組み合わせ、その有効性についても確かめる。

 両社は、実証で得られたフィジカルAIの実装・運用ノウハウを生かし、来年度から顧客へ展開する計画だ。その際、半導体や医薬品など広範な分野で両社が築くグローバルな顧客基盤を生かす。

 日立の德永俊昭社長兼CEOはコメントの中で、「フィジカルAIの現場実装から運用・改善までを一貫して支援することで、製造現場の生産性・品質向上、人手不足といった社会課題の解決に貢献していく」と強調。ファナックの山口賢治社長兼CEOもコメントで、日立とともにフィジカルAIの活用領域を拡大し、課題解決に貢献することに意欲を示した。