2020.07.21 【家電総合特集】動向ダイジェスト
テレビ
新型コロナウイルスの影響は、テレビ市場には追い風だ。今年開催予定だった東京五輪・パラリンピックが1年延期になったことから、テレビの販売に影響が出るとの見方もあったが、コロナ禍で外出自粛などになり、逆に自宅でテレビなどを視聴する機会が増えていることも背景にある。主要各社も高精細4Kテレビの20年モデルを6月から順次発売しており、今年後半に向けて拡販していく考えだ。18年12月にスタートした新4K8K衛星放送対応テレビは、4Kテレビ出荷台数の98.2%を占め、発売開始から累計311万6000台となった。
BDレコーダ
4Kテレビの販売の伸びとともに4K対応レコーダも注目されてきている。この1年で録画ができる4K放送が一気に増えたことから4Kを多チャンネル同時録画できるブルーレイディスク(BD)レコーダも主要メーカーから発売されてきている。
最新のレコーダはテレビ開発で培ったノウハウが組み込まれ、あらゆるコンテンツを4K品質で再現する超解像技術や多彩な録画機能を持っている。複数チャンネルを4Kで同時録画できる製品も多い。
AI/IoT家電
白物家電のIoT化が、コロナ禍で一層加速しそうだ。今まで経験したことのないスピードで社会生活が変化し、職場や家庭でも新しい生活様式に対応する必要性に迫られた。急激な状況変化に柔軟に対応できるのが、IoT家電。
現状、IoT家電の利用率が高いのは調理家電だが、これからは衛生・清潔がキーワードになってくる。IoTによる機能アップデートをすることで、こうしたニーズに素早く対応すれば、それだけ需要を捉える商機にもなる。
巣ごもり
外出自粛による巣ごもり消費の拡大で、注目されたのが調理家電だ。ホットプレートやホームベーカリ、ほったらかし家電ともいわれる電気自動調理鍋などの販売が急増し、メーカー各社は前年を大きく上回る販売実績を記録した。
調理家電と連携する食材配送サービスの利用も増えたほか、冷凍食品のまとめ買いなどで大容量冷蔵庫に対する需要がさらに高まった。
清潔ニーズに対応する空気清浄機や手軽に掃除できる充電式スティック掃除機など、在宅時間が増えたことで、家庭内の環境を快適にする家電の販売が増えた。
エアコン
エアコン商戦の本番である7月は、昨年に引き続き今年も梅雨の影響を大きく受け、気温も上がりきっていない状況だ。九州を中心に大雨による災害も発生しており、6月まで勢いがついていたエアコン販売も足踏み状態になっている。半面、コロナ禍で、室内の換気や衛生面に対するニーズが急速に高まっており、それらに貢献するエアコンの機能をアピールして、メーカー各社は夏商戦を盛り上げようとしている。
冷蔵庫
冷蔵庫は、共働き世帯の増加を背景にまとめ買い需要に対応すべく、大容量冷蔵庫の需要が伸びている。新型コロナ感染症拡大で、冷蔵庫にもあらためて注目が集まり、夏商戦を迎えて買い替え需要の顕在化に期待がかかる。
まとめ買いして冷蔵庫に保存した食材の鮮度保持もユーザーにとっては大きな関心だ。これまでメーカー各社が開発してきた鮮度保持機能が、巣ごもり需要にも十分対応できるものとなっている。今後は、IoT化によるレシピ提案の利用も注目される。
洗濯機
コロナ禍で、洗濯機の使われ方にも変化が出てくる可能性がある。夏は例年、洗濯物が増える時期だが、今年は新型コロナの影響で清潔性や衛生面をさらに気にかける傾向が強まっているからだ。
洗濯機はメーカー各社でIoT化が進み始めており、スマートフォンからの専用アプリのみで使える洗濯コースを追加実装するなど、アップデートはこれまでも行われてきた。購入後も進化する家電として、こうした対応は今後、コロナを意識した機能となってきそうだ。
電子レンジ
国内の電子レンジ市場は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要で、例年とは動きが大きく異なった。オーブンレンジにしても、様々な調理が可能な高級機に対する需要が持ち上がり、自宅で過ごす時間が増えたことで多彩な調理に挑戦しようとする世帯が増えた。
そうした際、活躍したのがIoT対応したオーブンレンジだ。IoT化で冷蔵庫などほかの調理家電との連携がさらに進み、同時に外部サービスと連携した取り組みも大きなテーマになる。
炊飯器
炊飯器は、内食の拡大やおいしさ志向に支えられ、炊飯器を中心に、炊き上がりのおいしさを極めた高級タイプの製品が好評だ。内食化の中で、主食の米をいかにおいしく炊き上げるか、各社は炊飯技術の粋を集め、市場に臨んでいる。
炊飯器の市場規模は年間安定した需要はあるが、IH式、圧力IH式の構成比が高まっており、市場全体では7割強をIH式が占めている。一時は活発だったインバウンド需要がコロナ禍で消滅しており、各社は国内の本物志向のユーザーをターゲットにしている。
掃除機
掃除機市場では、共働き世帯の増加により、家事負担の軽減や時短に対するニーズが強まり、近年売れ筋が変化している。従来は一般的だったキャニスタタイプに代わり、充電式スティック掃除機が主力製品となっている。充電式スティック掃除機は、使いたいときにすぐに使える手軽さから需要が伸び、18年には台数構成比でキャニスタ掃除機を上回っている。今後も掃除機の主力として、利用が進むことが予想されている。
空気清浄機
健康・快適志向を背景に、空気の質への関心は高まっている。特に新型コロナの感染拡大により在宅の機会が増えたことから、室内空気質に対する意識を高めた。
このため、今期に入って、空気清浄機の販売が前年を大幅に上回っている。日本電機工業会のまとめでは、空気清浄機の出荷は5月も前年同月比141.2%を記録。4-5月累計では前年同期比154.5%と大きく伸長しており、しばらく旺盛な需要が見込めそうだ。