2020.07.21 【家電総合特集】電子レンジIoT対応機種が活躍

巣ごもり需要で販売が伸び、IoT対応機種の利用も増えつつある

 国内の電子レンジ市場は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要により、例年とは動きが大きく異なった。これまでは少子高齢化を背景に、夫婦2人世帯や単身世帯といった少人数世帯が増加してきたことで、単機能レンジを中心に需要が増加傾向にあった。半面、オーブンレンジの高価格帯は販売が鈍化傾向で、フラグシップとして高級機を訴求するものの、中級機を軸に販売台数と単価アップにつなげる動きが活発だった。

 そうした中、新型コロナの感染が拡大したことで、4月は出荷台数が2桁増を記録するなど「巣ごもり需要」が市場を押し上げた。外出自粛の影響は様々な分野に波紋を広げたが、特に調理家電は従来、さほど売れていなかったたこ焼き器やホットプレートなどの需要を急増させた。

 オーブンレンジも様々な調理が可能な高級機に対する需要が持ち上がり、自宅で過ごす時間が増えたことで多彩な調理に挑戦しようとする世帯が増えた。そうした際、活躍するのがIoTに対応したオーブンレンジだ。

 スマートフォンでレシピを検索してそれをレンジ本体に送信できるなど、付属するレシピブックをベースとした料理検索に対し、格段に料理の幅を広げられる。7月に東芝ライフスタイルが同社初となるスマホ連携機種を発売し、主要メーカーでオーブンレンジのIoT化が進んだことになる。

 調理に際しては、クックパッドなどの料理レシピ検索サイト/アプリケーションを利用する傾向が以前から強まっていた。スマホでレシピ検索をしながら調理するスタイルが定着しつつあったが、新型コロナがそれを急激に推し進めた可能性がある。

 利便性から考えると、オーブンレンジと連携するメーカー提供のアプリを使用することで、掲載されているレシピの加熱設定を直接本体に送信できる。それにより、調理段階に応じて手動で加熱状況を変更する必要がなくなり、調理の手間が省けるようになる。

 細かな加熱設定を敬遠し、搭載されている多彩な機能を生かし切れないユーザーは少なくない。IoTはそれを手助けする役割を持つ上、メーカー提供のアプリを利用すれば、オーブンレンジに搭載されている独自機能を生かした料理も作りやすい利点がある。

 食材の宅配サービスとの連携も進んでおり、新型コロナでその利用も急増した。緊急事態宣言下にあった4月には、シャープの食材配送サービス「ヘルシオデリ」の利用が前年比3倍に増えるなど、これまでと市場の反応が明らかに変化してきている。

 オーブンレンジは今後、IoT化で冷蔵庫などほかの調理家電との連携がさらに進むと予想される。同時に、外部サービスと連携した取り組みも大きなテーマだ。変わりつつある調理ニーズに対し、メーカーとしてどう対応していくかが今後は重要になってくる。