2020.07.21 【家電特集】空気清浄機 新型コロナで販売台数大幅に伸びる

新型コロナで空気質全般への関心が高まり、空気清浄機の需要も旺盛だ

 健康・快適志向を背景に、空気の質への関心は高まる。とりわけ新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、在宅の機会が増えたことから、室内空気質に対する意識を高めた。

 こうしたことを背景に、今期に入り空気清浄機の販売が前年を大幅に上回った。日本電機工業会のまとめでは、5月も空気清浄機の出荷は前年同期比141.2%、4-5月累計で同154.5%と大きく伸長している。

 市場では、空気清浄機をはじめ換気に対する関心も高まるなど、多くのユーザーが従来以上に空気質向上に注意を払うようになっており、今期は空気質に関わる商品群については、旺盛な需要が見込めそうだ。

 昨年度の空気清浄機の国内出荷台数は、前年比5.6%減の202万8000台にとどまっていた。花粉シーズンで需要がピークとなる2-3月は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、サプライチェーンへの影響があったことも影響している。

 一方、4月に入って状況は一変し、空気清浄機のトップメーカーであるシャープの単月の販売が倍増したほか、パナソニックは約1.5倍、ダイキン工業では前年比144%、象印マホービンでは同170%など飛躍的な伸びを示した。

 新型コロナ禍の影響で、空気清浄機の動きは例年と大きく異なっており、花粉シーズンが終わっても、各社はあらためて商品提案を加速していく。

 空気清浄機については、集じん性能や気流制御技術向上、コンパクト性・デザイン性の追求をはじめ、IoT技術との連携でより使い勝手を高めるなど、年々進化している。

 市場では、空気清浄機能と加湿機能を搭載した加湿空気清浄機がメーンの商材となっているが、近年では除湿機能まで含めた除加湿空気清浄機のラインアップも進んでいる。

 加湿空気清浄機は、花粉シーズンをはじめ、冬場の加湿ニーズにも対応することができるため、年間を通して利用が可能だ。それぞれ単独の商品を室内に置くより、省スペースなことから、市場から支持された。

 さらに一歩進めて除加湿空気清浄機は、梅雨シーズンにも活用できるため、よりいっそう年間を通して一台で室内の空気質を改善できる省スペース型の商品となる。

 除加湿空気清浄機では、シャープが従来モデルより大幅にコンパクト化を図った新製品を投入しており、空気質向上と省スペースへのニーズに応える商品戦略を強化している。

 空気清浄機の年間需要はここ数年、200万台強で推移しているが、今期は例年より需要の拡大が見込めそうだ。目下、市場は旺盛な需要から品不足気味でもあり、ダイキン工業では増産に取り組むなど、対応を強めている。

 また、空気の質に対する関心が高まる中で空気清浄機をはじめ、「換気、除菌、洗浄などのニーズも取り込み、空気質全般に関わる新ビジネス(モノ+ソリューション)を立ち上げていく」(ダイキン工業・十河政則社長)など、空気質に関する新しい生活様式に対応した事業戦略も今後強化されそうだ。